あのとき夢中で歌った「春の小川」。 今、その一節一節に、こんなにも豊かな情景と心情が込められていたのだと気づくなんて、少し遅すぎたかもしれない。 けれど、それもまた、老いたからこその贈りものなのだろう。 川を見下ろしながら、私はそっと目を閉じる。 遠い昔の声が、風にのってどこかから聞こえてくるような気がした。 春の光とともに、懐かしい歌が心に満ちていく。