お茶を出しはみんなの仕事
8月
13日
四半世紀前の職場は
男性比率が高く
私の所属していた拠点は8割が男性でした。
夏場は女性3人が交代で
「拠点全員分の麦茶を作る」仕事がありました。
拠点のメンバーは15名。
大きなヤカンでお茶を沸かして冷やしたら
給茶器へ注ぎ入れ、またお茶を沸かす…
容量の大きな給茶器を満タンにするには
最低3回ヤカンでお茶を沸かす必要がありました。
そして、1日の終わりに給茶器を掃除するのも
これまた大変な作業でした。
敷地内には自動販売機もあります。
女性の先輩に
この「仕事と思われていない仕事」は
全員で回せないものなのか
質問をしたことがあります。
彼女の答えは
「私達(女性)3人で回せば問題ないでしょ?」と答えにならない答えが返ってきたのでした。
結局、暑い季節に麦茶を作る謎ルールは
給茶器が壊れるまで更に3年続きました。
誰も疑問に思わない事が私の疑問でした。
そして、もう一つ課題を抱えていました。
お客様と長時間お話する場合に出すお茶のこと。
私が接客している時に店内に女性が居ないと
お茶が出ないのです。
説明の途中でお茶だしのために席を立ち、
お盆を持ったまま説明を再開していました。
この時、他にもお茶が出ていない方の分も
お茶を出していたので
何とも間延びした説明になっていました。
このやり方しか方法がなかったのです。
そんなある日、
いつものように説明途中で席を立ち
お茶を出そうとした時でした。
お客様から
「男性はお茶を出さないの?」
と指摘されたのです。
この時接客していたお客様は
某大手ハウスメーカーにお勤めで
商談の度に私が席を立ってお茶を出すのが
気になっていた事を打ち明けて下さいました。
このやり取りを聞いていた男性の同僚が
慌ててお茶を出した事を皮切りに
女性営業が商談途中に
お茶出しで途中退席することは
ぐんと少なくなりました。
このお客様から
「女性も男性と同じように仕事してるのに
お茶出しは女性がする、
みたいな変なルールが多いでしょ?
これを何とかしたいって思ってるのよね。
少しずつ一緒に変えていきましょう」
と言われたのです。
私が疑問に思っていたことを
同じように疑問に思っていた人に出会えた事は
心の支えになり
大きな励みにもなりました。
お茶出しが嫌いな訳ではありません。
来店された方にお茶をを出しながら
他愛もない会話を楽しんでいたので
苦ではない事は裏目に出る事もわかったのです。
誰でも簡単にお茶が出せるように
わかりやすい配置で物を置く工夫をしたり
商談に入る前に「お茶出しお願い」と
同僚に耳打ちしたり、
出来る事を始めるようになり
いつしか所長もお茶を出すようになりました。
(これは別の緊張感がありましたが)
人はひとりでは心細い事も
同じ思いの仲間がいる事が分かると
勇気を出せたり
行動に移せたりできます。
こうしと
お茶出しはみんなの仕事になり
疑問に思う事は
また一つ解決したのでした。