IVORY TOWER
11月
13日
今日の米国大学教育の問題を報告しています。
それは、教育費です。
1980年代から今日までの約30年間で、米国では食費が250%、医療費は600%も上がっています。ところが、教育費は何と1120%も上がっています。
Pell Grantという公的な奨学金は、1977年には、希望する学生に対して117%も基金があったのですが、2012年には42%まで落ちています。公的奨学金が40%も減っているのに対して、授業料は230%も上がっています。そのためによほど裕福な家庭でない限り、学生の多くが、学生ローンに頼る結果になっています。
2013年には学生ローンの金額は、$213Billion(21兆3,000億円)に達しています。しかも民間会社のローンは返済利子が高い。卒業後から返済が始まるのですが、今の米国も大学卒業という修士だけでは簡単に就職先も見つかりない現状が待っています。ハーバード大学卒業の弁護士で、年収$20万(2,000万円)以上稼ぐ一方、学生ローン負債が$13万(1,300万円)あるという報告もあります。
現在、全米のクレジットカード負債より学生ローン負債総額のほうが多く、その金額は$1.1Trillion(110兆円)を越えています。
米国では2012年、4年間で大学を卒業できた学生は68%。
6年で卒業できた学生は44%という数字が報告されています。
世界でも有数な高等教育制度を誇っていたカリフォルニア州。
その州立大学全体では、4年間で卒業出来なかった学生が84%になっています。
つまり、4年ストレートで卒業できるのは、たったの16%の学生だということです。それは、最近の学生が勉学に励まなくなっているのではなく、財政な問題が大きいということです。
オンライン授業vsハンズオン
そこで、無料の遠隔授業も模索されていることを、ご存知の方も多いでしょう。Udacity, COURSERA, edXなども見られるサービスです。
一般的に日本での米国の大学事情は、入学は簡単だが、卒業は難しいというイメージだと思います。 確かの相当勉強しないと大変ですが、最近は入学も難しくなってきているようです。
また卒業が難しくなったのが、上記の授業料の負担増加です。
これは、大変大きな問題ですが、対岸の火事ではないはずです。
少子社会の日本。
最近代々木ゼミナールが閉校しましたが、これから色々な大学も同じ経営上の難しさに直面する(いやすでにしている)でしょう。教育の本質を、国家百年の計という長いスパンで真剣に考え直さないといけない時期に追い込まれているのではないかと感じます。
既存の戦後教育システムでは無理?
システム以前に家庭教育や地域社会のサポートも大切です。
米国の大学の授業料負担の問題。身につまされる話です。