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「ピアノソナタ『月光』殺人事件」で考える起承転結④

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タイトルに「起承転結」とあるのに、
一度も触れないままに④まで来てしまった(笑)

今回はしっかり触れていきますよ。

名探偵コナン「ピアノソナタ『月光』殺人事件」。
まさに、起承転結に基づいた構成になっていると思う。

というか、ミステリー全般的に、
起承転結を踏まえないと成立しないと思うから、

当然と言えば当然なんだけど。

私なりにまとめるとこんな感じ。

【起】

 ・小五郎のもとに、「麻生圭二」と名乗る人物から
  犯行予告とも取れる、奇妙な捜査依頼の手紙が届く。

 ・依頼の意図を図りかねながらも、
  一行が船で月影島に向かう

 ・島に着いた一行は、「麻生圭二」が
  12年も前に亡くなっていることを知る

【承】

 ・第一の事件発生

 ・第二の事件発生

 ・第三の事件発生

【転】

 ・コナンが真相に気づく

 ・推理ショースタート

 ・犯人は意外なあの人だった!!

 ・いつのまにやら犯人が脱走
 
 ・コナンが慌てて公民館へ
 
 ・公民館でピアノに向かう犯人を見つけて、
  コナンが説得を試みる
 
 ・犯人は「もう遅いよ……」と言って、
  コナンを抱きかかえて外へとぶん投げる
 
 ・燃え盛る公民館から、
  切なげなピアノの音色が聴こえる

 ・公民館が焼け落ちる

【結】

 ・第三の事件発生時に殴られた人物の
  真相に触れる
 
 ・一行、船で月影島を後にする
 
 ・蘭が犯人の言動に言及
  「どうしてお父さんに殺人予告、出したんだろう?」
 
 ・上記疑問に対するコナンなりの答えを示す
 
 ・犯人が最期にコナンに当てて送った暗号の意味が示される


以上。


原作及び、アニメのリブート版だと、
「承」のところに、「許さねえっ!!」のシーンが入ります。

>>>許さねぇっ!!
>>>殺人を予告してそれを平然と実行するヤツなんて、
>>>絶対に許さねぇっ!!!

このシーン。

これが、全体を通じて、
どのような意味を持つのか。

「起」と「転」と「結」が、
それぞれどんな意味を持つのか。

そうやって考えると、
このシーンを再現することの意味が、

見えてくるのではないかと。

この作品において、
いかにこの「殺人予告」が大事なものであるのかが、

見てくるのではないかと。

そして、だからこそ、
「承」にそのシーンを入れるのであれば、

「起」と「結」をもっとしっかり描いてほしかった。

堂々と殺人を予告して実行する、
まるで愉快犯のような犯人に怒りをぶつけたコナンが、

深い哀しみと後悔を抱くその過程を、
もっとしっかり描いてほしかった。

そして、そのような過程があるからこそ、
コナンはその後、

「推理で犯人追い詰めて殺しちまったら、殺人犯と同じ」、
「絶対に死なせない。生きて償ってもらう」という信念を持つに至るわけで。

この事件における、
大きい枠組みでの「起承転結」は、

まさにこの「殺人予告」なんだと思う。

まるで、不気味な「挑戦状」のように思えていた、
犯人からの予告が、

実は哀しい心の叫びだった。

「助けて」という心の叫びだった。

「お願いだから止めてほしい」という、
心の叫びだった。

それに気づけなかった。

気づけずに、推理で犯人追い詰めて、
自殺させてしまった。

犯人は、とても優しい人だった。
優しくて、心根の綺麗な人だった。

それにようやく気づいて、

深い後悔と懺悔を胸に、
月影島を後にする。

それが、この事件における、
大きな意味での、起承転結だと思うのです。

だから、この「殺人予告」の不気味さと、
それを送りつけてきた犯人の本気度が垣間見える冒頭を、

省略しないでほしかった。

「予告」に秘められた真実が明かされるラストを、
余韻を、省略しないでほしかった。

そこを省略するくらいなら、
「許さねえっ!!」のシーンなんていらなかった。

あそこは、「起」と「結」さえしっかりしていれば、
なくてもちゃんと成立する。

漠然とでもいいから、

「いたずらなんじゃないか」、
「弄んでいるんじゃないか」という空気を色濃く示せれば、

それを最後で覆すことさえできれば、
あのシーンはいらない。

改めて最初を振り返ったときに、
あの脅迫めいた奇妙な捜査依頼は、

犯人の必死さの裏返しだったんだ、
ということを暗に示せれば、

犯人に対する怒りが
悲しみや後悔に変わる瞬間を描ければ、

短い時間枠の中で、
あえてあのシーンを描く必要はない。

それでも描きたいのであれば、
しっかり時間枠を確保した上で、

丁寧に描いてほしかった。

他をおざなりにはせずに、
しっかり描いてほしかった。

だけど、時間の都合上なのか何なのか、
些細だけど重要なあれこれがいろいろ省略されているから、

いろいろと物足りない印象を受けてしまったのだと思う。

素晴らしい作品であるだけに、
非常に残念です。

#アニメ #レビュー

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