疲労と寒さで硬くなった足が 電車のシートから温められ 今日の姑息を、一年の姑息を 意味があるようかのように流れ始め 電車の一部となり労わりながら進んで行く 積み重ねられた日々の丘から 来年は天命を知り納めることのできる 根源を眺められる
大人って? 大人になりなさいって言うあんたは すでに自分が大人だと思っているようだね ピーターパンか、シンデレラか なんでもどこかに人をどこかに嵌め込み 言葉で刺そうとする 自分に疑問がないあんたも大人になりなよ 俺も一緒に付き合うぜ あんたも俺も子どもむき出しなんだけど えっ、そこっ、怒るところ?
まだ日は出ていないが 今年最後の一般ゴミを捨て もう来年に出す貯まるゴミを想像し チンケな頭の中はなんだか虚しく 今年も劣化する身体の変化に狼狽ながら 受け入れながら 駅までのホット缶コーヒーを 鼻の下にあてほっぺにあて すぐに飲んでしまえば温もりも消える わかっているけど流し込むのは 終わってしまいたい衝動が要求しているのだろう だからと言って気分が優れる時もある 心の浮き沈みの上の方はまだまだ微笑ましく 単純に生きているって素晴らしいと 感じたりするのだから 捨てたもんじゃない捨てれぬ理由が 一歩一歩背中を押しながら回っている すぐに冷たくなる缶を握りしめて やはりその感覚に現実を突きつけられながらも 捨てれるモノはまだ捨てることができる ゴミ箱の穴から乾いた音が響き ざまあみろと呟く今年ももうじき終わる
ぼくが歩くと 「もっとむねをはりなさい」 おとなにいわれた 空を見て歩くと 「しっかり地を見て歩きなさい」 ちがうおとなにいわれた 下を見て歩くと 「まえを見て歩きなさい」 ちがうおとなにいわれた ないて歩くと 「なくんじゃない」 ちがうおとなにいわれた おとなはだれも 「どうしたんだい」 といってくれない
アウト、セーフ、ヨヨイノヨイ! じゃん拳をして負けた者が服を脱ぐ 大人たちが盛り上がっているテレビがあった 坂上二郎が負けると野次が飛ぶ 女優さんが負けると歓喜の叫び 学校でも流行って 気がつくと自分がパンツ一枚になっている ヤバいと思った時に チャイムが鳴りホッとした想い出 (野球拳)
おい、今日はクリスマスだぞ ケーキを食べるだけの日になり 気がつけば大人になっている息子 俺には関係ない日だよ そう言って部屋に戻っていく はしゃぎ回る子どもらを想い出し ちょっと寂しくなる サンタさんへの願いはなく 部屋からは「恋人はサンタクロース」が 聞こえてきた
ほんとうに天国に居たんだね、ナナ おいおい、そんなに喜んで飛びつくなよ 地上に落ちてしまうぞ ナナ、ずいぶんと若くなっているな すると俺も若くなっているのか ほうほう、手のシミがなくなっている おっとと、足元に茶々がいるじゃないか 相変わらずスリスリして あんな事故でここへ来ることになって ゴメン、許してくれるか おおっ、父ちゃん ずいぶん足どりも良く歩いているじゃないか 病室で俺が もういいよ、楽になって そう言ったら眠るようにこっちへ来たんだね なんてことを言うんだ親に向かって と、怒っているかなと思ったりしていたんだよ 笑っているね、父ちゃん ああ、ここが天国なんだね 新入りの俺だけどよろしく頼むね
自分が嫌いになった時 どうにもこうにも立ち上がれない でも自分が嫌いになった正直さは けして悪いことではないと思う ひとりでないという証拠だ あれもこれもそれも 敏感に反応してしまうが 無理に自分を好きになるよりも 嫌いな自分に慣れながら
この環境はいつまでも変わらないようだ それなら陸に上がることもないか やめよっ、居心地いいし ずっとこの姿で生きてゆこう 笑う奴もいないし おおっ、海底にあるコイツはなんだ 硬くて見たこともない感じだな SPAMって書いてある なんじゃこりゃ まあ、俺たちには関係ないか