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詩は元気です ☆ 齋藤純二

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じいさんの上を向いて泣いたお話し

スレッド
今日はじいさんの
むかしむかしのお話しが聞きたいとな

そうじゃなあ
ひとつお話しをしようかな
わしの初恋ってのはどうだい

そうか
それは聞きたくないって言うと思ったが
では話を始めるかねえ

わしが小学校に上がる前の話じゃ
家はまだぼっとん便所でな

ああ
今みたいな水洗トイレでなくてな
和式便器があってその下に大きな穴があって
そこにするんじゃよ

便所のサンダルをそこに落としてしまい
父親によく叱られたわ

そんな話はいらないな
そうそう
まだ洋風な家などなかった近所に
レンガが数段つまれてた塀で
その上に白いパイプが建てられての
そこにバラが巻きつき
真っ赤な花を咲かしていたんじゃよ
家も真四角で真っ白な家で
外国のお話しに出てくる
世界って感じの不思議な魅力があった

そうなんじゃよ
そこの家族は金髪で鼻の高いひとたちで
なんせ言葉が通じなかったんじゃよ
パパさんは少し日本語が話せたんだけどな
いつも家にいるのはママさんとお嬢さん

そうそう
そのお嬢さんの名前はヘレンって言って
わしと同じ歳くらいだったの
言葉はまったく通じなかったけど
ずっといっしょに遊んでいたんじゃ
ヘレンはピアノが上手で
聞いた音楽をすぐに弾いたりするんじゃよ
「上を向いて歩こう」がわしはとても好きで
人差し指を立て日本語で「もう一回」というと
嬉しそうにピアノを弾いてふたりで歌ったんじゃ
今でもあのヘレンの笑顔は忘れないの

わしはヘレンを笑わせるのが楽しくて
バラのトゲをパチンと取ってツバをつけ
自分の鼻の頭やおでこにつけて
怪獣のマネをするとヘレンはキャアーと
半分笑いながら逃げるんだよ
楽しかったの

そうそう
ヘレンの誕生日に
わしは上手ではなかったけどヘレンが
ピアノを弾いている姿を絵に描いてプレゼントしたんじゃ
その時な

はいはい
その時な
ヘレンはわしのぽっぺたにキスをしたんじゃ
固まっているわしを見るヘレンが笑っていて
嬉しいのに嬉しくないというか
初めての感覚だったの

しかし
楽しい時間というのあっという間に過ぎてしまい
ヘレンとは小学校を上がるちょっと前に
さよならすることになってしまったんだよ

別れる日のことは鮮明に覚えてるの
ヘレンにサヨナラの言葉さえ出なくて
車に荷物を運ぶパパさんとママさんを見て
ヘレンとわしは手を繋ぎ突っ立っていたんじゃ

パパさんとママさんがわしに「ありがとう」と
とても優しく言ってくれたんじゃ
だが
それがヘレンとのお別れの時というのがわかり
口をきつく結び泣くのをガマンしたんじゃの
ヘレンと手が離れた感触も今でも覚えてとる

車が出るとわしは突然に大きな声で
「上を向いて歩こう」を歌い出したんじゃ
するとヘレンは後部座から振り向いて
ピアノを弾くマネをしたんだ
わしは「涙がこぼれぬように……」と歌ったが
涙はいつまでも流れたんじゃなあ

これがわしの初恋の話になるの
おお
お前さんも泣いてくれるんかい

聞いてくれてありがとうな

#お話し

ワオ!と言っているユーザー

#冬の風

スレッド
風は冷たいかもしれなくて

「かもしれない」と感じるほどの心は
ここにあるのだけれども

地に着いていない毎日
不安を誤魔化すほどの楽観はないけれど
進まなくていけないと
理由もわからず暮らす日々もあろう

冬の風は冷たいかもしれなくて
近くを見るばかり

枯れ葉がまた足元に落ちた

ワオ!と言っているユーザー

ありがとう風船

スレッド
破れない風船は
お世話になったひとたちへ
垂れ下がった糸を振りながら
感謝の気持ちを伝えに行きます

少しの間
この世界を自由に飛べるのです

私も風船になりました
先ほどから挨拶まわりをしています
飛んでいるのは夢のようで
なんだか不思議な気持ちがします

カラスはカァーカァーと鳴きながら
私のことを見ています
けれどもクチバシで突くことはしません
その黒い出で立ちで親近者のように
喪に服しているのだろうか

懐かしい小学校が見えてきました
私が描いた絵はまだ飾られているだろうか
見てみたいけれど
そこまで時間はないようなので
家族のところへ向かいます

なんてことでしょう
私の身体を囲み家族が泣いています
ろくな人間ではなかったのですが
いざ風船になると
ちょっといいひとになるようです

家族には
ありがとうの言葉しかありません
この世界で共に過ごせた幸せ
私も泣いています

ああ
どんどん空の上にあがり
とっても速く景色は流れています

もう雲の上まで来てしまいました
なんだかとても懐かしい匂いがします

そして
おふくろと親父の声が聞こえ
どんどん光の世界に近づいています

ただいま
帰って来ました

お前の帰りをずいぶんと待ったよ
いい人生だったんだね
ご飯の準備はできているから
いっぱい食べるといい

#詩

ワオ!と言っているユーザー

#星が笑って

スレッド
帰るところを知らない
僕たちを星が笑っています

手をつなぐ温かさがあれば
寂しいさは
どこかに飛んでいきます

なんだろう
このありがとうの気持ち
こころは夜空に
とっても澄んでいきます

ふたり手をつなぎ歩く
ここが
ただいまの場所でしょうか

僕たちを星が笑っています

#詩

ワオ!と言っているユーザー

夢と現実の間

スレッド
どんよりと重たい夢を引き摺り
現実の朝に上手く戻れない
どうにもならない苦しみだけが
生きていることを自覚させる
未来の不安がそうさせたと言うのか

強度な追い込みは
このままではないことを知っている
時間と共にどんよりが溶け始める

自転車のスタンドが上がる音
掛け布団から出た肩の冷たさ
立ち上がる時の腰を気づかうイメージ

現実に追われた俺は
この現実に救われてゆくというのか

夢の世界と現実の世界
その間の世界から抜け出して
始まろうとしているのか
それとも何も無いだろう世界に近づき
終わろうとしているのだろうか

必要のなかったアラームが鳴る
動かす左手からどんよりが消えてゆく

#詩

ワオ!と言っているユーザー

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