アルペジオの音色 夏の夜はすこし涼しげを弾ませ iPadを両手にソファで寛ぎ 詩を書くつもりが 目を閉じて旋律を追いかけ 流される時間の渦に回り どこへ連れて行くのだろう 知らない街が輝いて その先にはきっと海があって 風が吹いて僕の髪は揺れ ハイビスカスが空を眺め 僕は両手をひろげて 鮮やかに光は輪郭を描き 青くどこまでも青く おやすみの入り口は夢のように 僕に麦わら帽子をかぶせ その先の物語りへ潜り込む
少し早く家を出て ホームのベンチに座わり 一編の詩を書いている 風が軽く吹き 蝉が遠くで鳴いて 昨日読んだ誰かの 教科書にあるような 詩を思い出しては考える 言葉を磨きすぎると 僕の好きな詩ではなくなる 未熟なところで止める そんな勇気も必要だろう ピカピカに光った詩を 書けないから負け惜しみで 言っている訳ではない ひとそれぞれ 好きな詩があって 僕の場合はズッコケた そんな詩を愛してしまう 自分らしくを具現する楽しみ やはりひとそれぞれ 突然に特急電車が通過する 偏った思考に刺さっては 抜けて行った 詩は自由だと思うと 自由という言葉に縛られ 自由でないといけない そんな枠に嵌ってしまう 読んでみよう再び 僕という枠を外して 教科書にあるような詩が 生きているかどうか