おいおい通り過ぎているよ あんたが探している俺は もう画面から消えているぞ てかっ 俺のこと探しいていねえよなっ ああ こりゃすでに俺のひとりごと やはり死んじまった奴のブログなんて スルーされてすでに埃の山だな あとどれくらい魂がインターネット上で 彷徨えるのだろう 検索でよく俺の一個前に出てくる奴が言っていた 閲覧されないブログとかを クラッシュマンがギザギの刃物を持って 僕たちの言葉や写真をズタズタにするらしい なんでそんなことを知っているんだ そんな作り話を俺は信用しない 間一髪で助かったひとがいて クラッシュマンが現れてウオーって時に 自分のリンク先に飛んできた閲覧者がいて ギリギリセーフだったらしいよ だからクラッシュマンを見ているのさ マジか 嘘じゃなさそうだ そいつはすげえ運が良かったなっ このままだと僕たちはいずれ クラッシュマンにやられて死ぬんだよね ああ 俺たちは二度死ぬんだな 二度目は殺されるなんて残酷すぎるぜ 聞きたくない話を聞いてしまったし その話し相手はすでに消えてしまった そろそろ俺の順番も近そうだ 後世に残るような名作でも書けたなら 永遠を手に入れられたんだろう 俺のチンケな小説じゃもう時間の問題だ もっとすげえ作品を書きたかったなあ 別にここで死ぬことが嫌とかじゃなくて なんかやり切ってなかった悔いが 今ごろになりズブズブと胸を刺してくるぜ もう一度だけ俺にキーボードを打たせてくれ そしたら…… だけどしょうがねえよなっ ずいぶんと怠けて生きてきたのだから おおっ あちゃ来たかクラッシュマンマン このクソ野郎が 最後の最期ぐらいはカッコよく消えてやるぜ カモンっ 待っていたぜクラッシュマン! ………んっ ………なぬっ 俺のブログにお祝いのコメントが入っているぞ 俺も飛んで戻ってきたか なになに 俺の書いた小説が賞を取ったってか そんなことありえねえよな 一度死んだ奴に賞って マジかよ まあ また俺はここでしばらく彷徨えるんだな でもなんかもういいかなって気持ちもするぜ 小説が書けないんじゃただの抜け殻だよ ……もっと真面目にやれば良かった いやいや俺の性格じゃ 生まれ変わってもあんまりパッとしないかっ 話しがちょっと長くなったが 一度目の人生に怠けると 二度目の人生なんてないようなものだ そこのあんたもダラダラと生きていると 俺みたいにイケてない人間になるぜ まあ 大きなお世話だなこれりゃ