スクロール
3月
15日
あんたが探している俺は
もう画面から消えているぞ
てかっ
俺のこと探しいていねえよなっ
ああ
こりゃすでに俺のひとりごと
やはり死んじまった奴のブログなんて
スルーされてすでに埃の山だな
あとどれくらい魂がインターネット上で
彷徨えるのだろう
検索でよく俺の一個前に出てくる奴が言っていた
閲覧されないブログとかを
クラッシュマンがギザギの刃物を持って
僕たちの言葉や写真をズタズタにするらしい
なんでそんなことを知っているんだ
そんな作り話を俺は信用しない
間一髪で助かったひとがいて
クラッシュマンが現れてウオーって時に
自分のリンク先に飛んできた閲覧者がいて
ギリギリセーフだったらしいよ
だからクラッシュマンを見ているのさ
マジか
嘘じゃなさそうだ
そいつはすげえ運が良かったなっ
このままだと僕たちはいずれ
クラッシュマンにやられて死ぬんだよね
ああ
俺たちは二度死ぬんだな
二度目は殺されるなんて残酷すぎるぜ
聞きたくない話を聞いてしまったし
その話し相手はすでに消えてしまった
そろそろ俺の順番も近そうだ
後世に残るような名作でも書けたなら
永遠を手に入れられたんだろう
俺のチンケな小説じゃもう時間の問題だ
もっとすげえ作品を書きたかったなあ
別にここで死ぬことが嫌とかじゃなくて
なんかやり切ってなかった悔いが
今ごろになりズブズブと胸を刺してくるぜ
もう一度だけ俺にキーボードを打たせてくれ
そしたら……
だけどしょうがねえよなっ
ずいぶんと怠けて生きてきたのだから
おおっ
あちゃ来たかクラッシュマンマン
このクソ野郎が
最後の最期ぐらいはカッコよく消えてやるぜ
カモンっ
待っていたぜクラッシュマン!
………んっ
………なぬっ
俺のブログにお祝いのコメントが入っているぞ
俺も飛んで戻ってきたか
なになに
俺の書いた小説が賞を取ったってか
そんなことありえねえよな
一度死んだ奴に賞って
マジかよ
まあ
また俺はここでしばらく彷徨えるんだな
でもなんかもういいかなって気持ちもするぜ
小説が書けないんじゃただの抜け殻だよ
……もっと真面目にやれば良かった
いやいや俺の性格じゃ
生まれ変わってもあんまりパッとしないかっ
話しがちょっと長くなったが
一度目の人生に怠けると
二度目の人生なんてないようなものだ
そこのあんたもダラダラと生きていると
俺みたいにイケてない人間になるぜ
まあ
大きなお世話だなこれりゃ