赤提灯のぶら下がる 路地を歩く 女たちが手を引き誘う 昨夜見た夢の続きか 書き始めた小説の続きか 揺られ渡った詩人の大陸幻想か 占い師が忠告していた 月に高笑いをする女の気配 私の罪悪感を利用し 強く首を絞め遊び出す 悪くはない 望んでいた夜だ 逃げ場所のないロマン 汚れた美しさ 終わらない夜は続く 騒がしい外へ 右でもなく左でもなく 夜の暴動を遠くから眺める 走って向かってくる女 石を掲げ笑ったまま振り落とす 頭を叩かれ 遠くのネオンがなお歪み 倒れ込む先で 水溜りに流れ出す血液 立ち上がれないのは無念なのか 死んだはずの魂が疼く 生きたい死にたい生きたい死にたい ポケットから 水溜りへ落ちたビスケット ボロを着た子どもらに 分け与える為の償いたちが 泣くように赤く染み込んでいく 街頭の下 占い師が忠告していた子どもらは 水溜りの赤いビスケットを拾い 何事もなかったように頬張り 倒れた私の身体を踏みつけ走り出す 覚めそうもない覚めたくもない 夜はまだ始まったばかりだ