上海の夜
2月
17日
路地を歩く
女たちが手を引き誘う
昨夜見た夢の続きか
書き始めた小説の続きか
揺られ渡った詩人の大陸幻想か
占い師が忠告していた
月に高笑いをする女の気配
私の罪悪感を利用し
強く首を絞め遊び出す
悪くはない
望んでいた夜だ
逃げ場所のないロマン
汚れた美しさ
終わらない夜は続く
騒がしい外へ
右でもなく左でもなく
夜の暴動を遠くから眺める
走って向かってくる女
石を掲げ笑ったまま振り落とす
頭を叩かれ
遠くのネオンがなお歪み
倒れ込む先で
水溜りに流れ出す血液
立ち上がれないのは無念なのか
死んだはずの魂が疼く
生きたい死にたい生きたい死にたい
ポケットから
水溜りへ落ちたビスケット
ボロを着た子どもらに
分け与える為の償いたちが
泣くように赤く染み込んでいく
街頭の下
占い師が忠告していた子どもらは
水溜りの赤いビスケットを拾い
何事もなかったように頬張り
倒れた私の身体を踏みつけ走り出す
覚めそうもない覚めたくもない
夜はまだ始まったばかりだ