頬の汗を手で拭い 刺さっている鉄片に触る サンダーで削れば弧を描く火花 押し付けた力に手が痺れ 缶コーヒーの中身が揺れていた 腰巻を斜めに付け ハンマー、ペンチ、ドライバー 最初はそれがカッコいいと感じていた 室内での工事 電気屋が座り込み昼メシを食っている 俺はひとりゴンドラの棚を組み立て続けた おっさんらがこっちを睨んでくる メシの時間だからホコリたてるなよ そう言いたいのだろう 俺は十八歳、おっさんには負けねえ 売られた喧嘩は買ってやる しかし、売られもしない喧嘩 陰険なクソ野郎だ 夜になり電気屋は配線を外し 電気を消して行きやがった 俺は窓からの月あかりに目を擦り 感を働かせてハンマーで叩き サンダーで鉄柱を切る クソ野郎が、みんなクソ野郎だ 最後の一本を切り終え 誰かが忘れた缶コーヒーを握った