巡る
7月
8日
デジタルの数値で知り距離を置く
福島の被災地を巡る
反り返った防潮堤は何処までも続く
哀しみの経験から設計されただろう形は
涙の曲線で押し返してくれるはず
まだ小さい防潮林は何処までも続く
膝くらいまで伸びた松の木は
未来がたくさん詰まっているに違いない
八年目の夏も魚を下ろせない漁港
七キロ先には現発事故の靄がかかっている
それでも復興の手は休めずに
重機はガリガリと明日のために唸っている
緑は茂り鳥は飛ぶけれど
流された家に残された下駄箱には
まだ靴がひとを待っている
復興は少しづつ進んでいるが
だけど帰れぬ帰還困難区域があり
せつなく惨さを押し付けてくる
見えない敵をつくり出したのは
人間だという原因が其処にはあった