チェロ弾き
2月
5日
冷たくて切なくて哀しくて
時の風にも吹かれぬまま
降り積もるチェロの音だけが
そこにいることを示す
ビルの谷間に響く
道化師の揺らめく弦
涙の化粧は
嘘をつくのが上手で
立ち止まるひとびとに
視線は合わせず
ずっと遠くを見る瞳
過去を膨らます趣向
未来というおとぎ話を消し
白い花を想いださせ
進まない不安定を飾る
やがて君は壊れたように
演奏を終えて崩れてゆく
ひとびとがまた流れだす
コインが重なる音
ふたつなれば
君は生き返ったように
お辞儀をみっつした