ファミリーレストラン 飲み放題のコーヒーで粘る 隣のテーブルには ギャングを引き連れた賑やかな家族 私は懐かしく受け入れ 相変わらず詩を書こうとしている しかし一向に文字は 列車のように連なって走らない 暴れ騒ぐ兄弟 叱りつける父親 なだめる母親 お子様ランチと定食が運ばれる 子どものハンバーグを細かく切る母親 いただきますも言わず唐揚げを頬張る父親 静かだ、とても静かだ 食べている家族は静かだ 食べることは生きること 生きることに夢中になっている お腹が満たされてくると お兄ちゃんが口の中を指差し こっちはうごくけど こっちはうごかないの 咀嚼する時の上顎が 動かないことをどうしてと訊いている 確かにそうだな 父親はぼそぼそと呟く あらっ、ほんとうね 母親は子どもの感性に微笑む 家族はともに時間がながれている 一緒に暮らしていても 私のように離れて生きていても ああ、家族の詩を書こう