家族の詩
11月
6日
飲み放題のコーヒーで粘る
隣のテーブルには
ギャングを引き連れた賑やかな家族
私は懐かしく受け入れ
相変わらず詩を書こうとしている
しかし一向に文字は
列車のように連なって走らない
暴れ騒ぐ兄弟
叱りつける父親
なだめる母親
お子様ランチと定食が運ばれる
子どものハンバーグを細かく切る母親
いただきますも言わず唐揚げを頬張る父親
静かだ、とても静かだ
食べている家族は静かだ
食べることは生きること
生きることに夢中になっている
お腹が満たされてくると
お兄ちゃんが口の中を指差し
こっちはうごくけど
こっちはうごかないの
咀嚼する時の上顎が
動かないことをどうしてと訊いている
確かにそうだな
父親はぼそぼそと呟く
あらっ、ほんとうね
母親は子どもの感性に微笑む
家族はともに時間がながれている
一緒に暮らしていても
私のように離れて生きていても
ああ、家族の詩を書こう