枯渇のオアシス
9月
13日
満たされぬ渇きが次第に強くなる
主人はテーブルにコップで差し出す
ふたりは笑窪をつくる、上手につくる
定事の絶対に手だけが震え
右手に左手を添えれば
左手も震え
次第にテーブルがガタガタと震え
床に共振すれば主人が痙攣し始めながら
これは僥倖だ
素晴らしき我がオモチャよ
さあ、もっと飲みなさい
もっと、もっとだ
頭蓋骨の穴から甲高い声を発する
飲みたい、もっと飲みたいのです
水をください、どうか水をください
潤うことの知らない喉は水を欲しがる
与える優越が無情に有情を
終わることのないふたりの因果
主人は知っている
自分が本当はオモチャであることを
テーブルに水のないコップを差し出す
ふたりは笑窪をつくる、上手につくる
喉に拘束の美を流し込み
留まらない渇きに震えながら
ふたりは笑窪をつくる、上手につくる