詩にとってストレッチは大事だ ベースボールのイチロー選手は よくストレッチをしているらしい 怪我もせずㅤその柔軟な活躍はひとびとを感動させる なにもストレッチが大事なのはスポーツだけではない もちろん詩にとっても必要なものだ いつでもどこでも言葉を柔軟にしておくことは 描く世界をひろげるためには必須である はてㅤそれでは言葉のストレッチとは なるべく感情を入れずに風景や状態を 声を出して言ってもいいし 心の中で言ってもいい 例えば今のわたしの状況だと 頭の上 ㅤ扇風機ㅤゾーゾーと音 風がきたㅤ風が行ってしまう 風がきたㅤ風が行ってしまう 風がきたㅤ風が行ってしまう カーテンが揺れるㅤ足をくすぐる 外から車の音ㅤザーㅤザー 肩がこるㅤ起き上がる 右手にタブレットㅤ左手まわす 左手にタブレットㅤ右手まわす 左手にタブレットㅤ右手のコップ タブレットを置きㅤ暑いと叫ぶ こんなふうになんでも良いので言葉が柔軟に動けるように 作品を認(したた)めるにはストレッチが重要だ では本番ㅤ行ってみよう 頭の上ではお前に風などやりたくない 扇風機がゾーゾーと電気用語を話す 僕は通訳がなくてもわかってしまう それは言葉のストレッチをしているから 詩的なイメージがすっと入ってくる それは詩を書くものにとって特別なことではない カーテンが足をくすぐる おいおいまたかよㅤって思うんだけど仕方ない 風の命令だってことは知っているんだよ 僕と遊びたいのは風だってことも知っているんだ 風の声がわからないのなら詩なんて書けない 君もそう思うだろう 外から車の音がザーザー 起き上がれよダラダラ人間 そんなヤンキー語が聞こえる それじゃ休日をエンジョイするか 立ち上がり 右手にタブレットㅤ左手まわす 左手にタブレットㅤ右手まわす 左手にタブレットㅤ右手にコップ 一杯の水を飲み 燃えすぎなんだよ太陽ㅤって叫んだ 今日も猛暑 それでも出かけよう カラダが鈍ってしまうしな タブレットをカバンにいれ 玄関を開けたら地面から熱気が ようこそ夏地獄へㅤって笑っていた まあㅤこんな感じかな 詩の柔軟性を活かすには 言葉のストレッチが大事だってことだ