オリンピックの開会式を見ていたら、何でだろう?胸が熱くなり涙が溢れてきた。 この開催にあたり、無観客の対応や運営の不具合(ほとんど人災)など、ポジティブな情報よりネガティブな情報ばかりが目につく。 楽しみにしていた故にホスト国側からの、観客目線での不満も多々目にする。 分かる。 これが平時の開催なら、どんなにか素晴らしい大会になっただろうか! 我田引水になるかも知らん。 昨年、世界三大自動車レースのひとつ「ル・マン24時間レース」に関係者として、フランスへ飛んだ。桁違いに被害の多いフランスへ。 いくら運営側のリスクコントロールがあっても、レースウィークを過ごすのはサーキットだけではない。移動の道中から、滞在中のリスクは決してゼロじゃない。 だから、行く以上は覚悟していた。 仮に、開催直前に親兄弟、肉親、親友に何があってもレースを優先する。仮に滞在中何があっても、行く。仮に自分自身が白木の箱で帰国する結果となっても。 幸い結果論として何も無かったのだが。 それは、無事に帰国したから今言える事で、当時はそう覚悟するしか無かった。 まして、ウチのチームはLMP1のような確実に参加が認められるワークスじゃない。 金が有れば何とかなりそうなGTクラスでもない(そう言うとハコの人は気分を悪くするだろうが)。 アマチュアドライバーが乗る、現在世界最速マシンを操るLMP2。 そこに、レースを始めた最初からパートナーとして過ごした還暦ドライバーが挑戦する! こんなBIG-ONEは、後にも先にも有ろう筈がない! 通常、参加するだけでも難しいル・マンに、ただレースが好きという理由だけで努力してきた還暦のドライバーが、世界的なパンデミックで開催すら危ぶまれたなか挑戦する! だから、レースできる場所が有ったことに心から感謝している。だって、次の保証は無いから。 そりゃ、あれが平時だったら、、と強く思うのも事実。 観客が狂喜乱舞し、不夜城のような盛り上がりの中を走らせてあげたかった。 自分自身、そんなレースを見たかった。 苦しい闘いの直前のスターティンググリッドへ一緒に行きたかった。一晩中、コースをぶらついていたかった。 観客の割れんばかりの歓声に包まれたかった。 ドライバーにはそんな中でチェッカーを受けて欲しかった。 実際には無観客で粛々とレースは始まり、終わった。 今、オリンピックに思う。 もし、開催すらされなかったとしたら… エントラントとしては、悔いても悔やまれない。 その場所が用意されいるだけでも、有難い。 中には政情不安や経済状況に苦しむ参加国もある。それでも参加してくれた。 遠い、世界的な立場からすれば極東の小さな国へ、暑いこの国へ来てくれた。 感染症の陽性反応で参加出来なかった選手も居る。パンデミックを懸念して拒んだ選手も居る。 それは誰にも責める権利は無いし、平時ではない今の事実だ。 二人しか居ない国の選手を目の当たりにして、心細かろうが精一杯頑張って欲しいと思った。 皆、それぞれの事情があるなか、それでも闘う為に来てくれたのだ! それぞれの覚悟を背負って! 戦争ではなく、スポーツの理念と規則に乗っ取った平和な闘いに来てくれたのだ! いろんな意見はあって然るべきだ。 それこそが民主主義だから。 でも、いま、世界中で噛み締めるべきだ。 選手の居場所があるという素晴らしい事実を! 大変な中でも、無事に終わってしまえば良い思い出になる。きっと。 だって、残念な事は多かったのも本当だけど、大変なレースウィークを過ごした自分自身が、心からそう思うから。 選手の皆さん! どうか精一杯頑張って下さい! 良い記憶や記録のために!
ワオ!と言っているユーザー
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