米国から美郷町の親族へ日章旗 太平洋戦争で戦死、反戦の思い新た 太平洋戦争に出征し、ニューギニア島で戦死した秋田県美郷町六郷東根出身の藤岡長右エ門さん=当時(22)=の遺留品である日章旗が米国で見つかり、14日に遺族へ返還された。受け取ったおいの深田重雄さん(65)=美郷町畑屋=は「生きて帰りたかったと思うが、形あるものが返ってきてうれしい」と感慨深げに語った。 藤岡さんは1922年、8人きょうだいの長男として生まれた。太平洋戦争で陸軍の「第一揚陸隊」に所属し、ニューギニア島のホーランジャで44年7月29日に亡くなったと記録されている。 本籍は旧六郷町六郷東根字上荒川。縦72センチ、横95センチの日章旗には「祝應召 藤岡長右エ門君 荒川常會一同」と手書きで記されており、地元住民からの贈り物であることがうかがえる。 米兵だった男性がニューギニア島から持ち帰ったとみられる日章旗。遺品を譲り受けていた息子のジョン・ボチェインさん(米コネティカット州)が、旧日本兵の遺品返還に取り組む米国のNPO、OBON(オボン)ソサエティを通じ返還を希望。日本遺族会などの協力で実現した。 14日は美郷町役場で返還式が行われ、松田知己町長や町遺族会の熊谷良夫会長が出席。松田町長は「日章旗には多様な思いがこもっている。ご遺族にお返しできて、亡くなった藤岡さんも喜んでいると思う」と述べ、深田さんに日章旗を手渡した。 深田さんは、数年前に初めて母アツ子さん(86)から太平洋戦争で亡くなった兄がいるという話を聞き、藤岡さんのことを知った。 戦後77年を経て戻ってきた旗を見詰め「あまり実感はなかったが、現物を見るとじんとくるものがある。伯父は日本を守るという気持ちで戦っていたのではないか」と思いをはせた。ロシアによるウクライナ侵攻が続いていることを踏まえ「戦争はあってはならないものだ」と話した。 高齢者施設に入所しているアツ子さんにも「やっと帰ってきたよ」と言って見せに行くつもりだという。 県遺族連合会によると、オボンソサエティは2016年から県内出身の戦死者の遺品を遺族に返還している。藤岡さんの遺品が17例目で、このうち日章旗は15例目。 https://www.sakigake.jp/news/article/20221015AK0013/?fbclid=IwAR3DjwiFGlH4R24oLVs3P4LrMaxEC5RG-9dsJdj0NCKKRqErbxph1vEasNo