脱炭素社会に向かう手段として太陽光発電が期待されている中、毎日新聞が6月28日付けの一面トップで「太陽光発電が『公害』 自然破壊・景観の悪化 37府県でトラブル」との大見出しで特集記事を載せた。
記事は3面にも載る特集だった。
主要新聞の中で太陽光発電の自然破壊ぶりをここまで大きく取り上げた例はない。「ようやく目覚めたか」と遅きに失した感もあるが、問題を提起した意義は高い。
ただし、太陽光発電を支えるために莫大な国民負担が強いられていること、そして太陽光発電が真に自立し太陽光発電の中でもメガソーラーといわれる大規模発電は広大な場所を必要とするため、山肌を削ることが多く、トラブルが多発していることが分かる。
ここまでの記事の内容は、「言われてみればそうか」という想定内のトラブルだ。だが、毎日新聞は記事の後半でさらに踏み込んで「太陽光発電が設置されても、固定資産税以外の税収は見込めない。
原発や火力発電所のように雇用を生み出すこともほとんどない。通常、発電した電気の売却先は大手の電力会社。そのため、非常時に地域独自の電源として用いることもできない」と書いている。
要するに、太陽光発電を地域に設置しても地方の経済振興に貢献する度合いは乏しく、発電の利益は外部の事業者にもっていかれる植民地型ビジネスモデルだという批判を展開した。
これまで太陽光発電に関する記事の多くでは、地域分散型電源で地域の経済に役立つという理想論ばかりを聞かされてきたが、ようやく、ここまで踏み込んだ記事が出てきたわけだ。それだけ太陽光発電の公害が露わになってきた現実があるのだろう。