ミシュランの星がついているレストランでも、この油を使っていると判明。 下水をくみ上げた汚水から抽出した油分で生成される違法食用油「下水油」(地溝油)については本サイトでもたびたび取り上げてきた。 一時は年間200万~300万トンが市場に流通しているともいわれ、大きな社会問題となったことから、中国各地では地方政府主導の下水油撲滅作戦が展開され、下水油業者は撤退したかのように見えた。 ところが、彼らは地下深くに潜っていただけだったようだ。 ニュースサイト「南方網」(12月26日付)によると12月初旬、広東省東莞市にある村の住民から当局に通報が寄せられた。その内容は、村の近くに建設された工場から悪臭が発生しているため、調査を依頼する内容だったという。 地元住民の話によると、この工場は昼間は稼働しておらず、毎晩8時頃になると、ドラム缶を積んだトラックが工場を出入りするなど動きが活発になるという。地元メディアがこの工場に潜入し、ドラム缶の中を覗き込むと、そこには黄色や黒味を帯びた悪臭を放つドロドロした液体が積まれていたという。 そして12月21日、地元衛生局が立ち入り調査を行い、工場内にあった下水油や、抽出に使用したとみられる道具などを押収した。この工場では、飲食店などの下水道や排水溝にたまっていた液体を集め、油分のみを抽出し、再び安い料金で食用油として販売していた疑いがあるという。さらに、油分を抽出する中で出た汚物を付近の川に直接流していたのだ。当局は環境汚染の容疑でも、この工場の関係者から聴取する見込みだという。 専門家によると、下水油の成分にはヒ素よりも毒性の強い成分や、農薬、発がん性物質などが大量に含まれているというが、中国の消費者は一体どうやって身を守ればいいのだろうか……。 (文=青山大樹)