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日銀が初の賃金調査へ、短観で把握 将来の政策反映も

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日経新聞より
 
日銀は27日、全国企業短期経済観測調査(短観)で賃金動向を調査すると発表した。
まず本調査に組み入れる前段階の予備調査として、9月から1500社程度に賃上げ率の実績や見通しをたずねる。
政府の賃金統計のみならず、企業の賃上げ姿勢をより多面的に把握できる体制を整え、将来の金融政策運営に生かす。
 
日銀の統計で賃金を調査するのは初めて。
今後、短観の本調査の項目として導入されれば「為替レート」や「海外での事業活動」が追加された2020年以来となる。
予備調査を通じて、本調査への組み入れに向けた適切な設問形式を模索する。
 
予備調査は25年6月まで実施し、25年後半以降に「見直し方針」を公表し、パブリックコメントを募集する。
システム変更なども必要なため、本調査に入るとしても「数年先になる」(日銀の調査統計局)という。
 
日銀によると、予備調査段階では調査結果を公表しない。
あくまで統計を拡充する準備の位置づけで、予備調査の結果を金融政策決定会合の材料にすることも考えていないという。
 
短観は資本金が2000万円以上の企業を対象として四半期ごとに、全国約1万社の企業に自社の業況や経済環境の現状・先行きをどうみるか、事業計画などを聞き取っている。
回答率は99%以上で、企業の動向を的確に把握できる統計として、市場関係者の注目も大きい。
 
日銀が賃金調査に乗り出す理由は、経済・物価動向を判断するうえで「(賃金動向への)世の中の関心が高まった」(調査統計局)とみるためだ。
短観の調査対象には中小企業も含まれ「労働組合がない企業も把握できる。既存の賃金統計を補完し、多面的な把握・分析に資する」(同)と説明する。
 
賃金指標は厚生労働省の「毎月勤労統計」や連合の春季労使交渉の集計結果などがある。
日銀は非正規雇用者の時給など民間データも活用し、賃金動向の把握に努めている。
2%物価目標の持続的・安定的実現に向けて、賃上げを伴う物価上昇が続くかどうかを重視している。
      
連合の賃上げ集計は、労働組合を持つ企業のデータを集めたもので、大企業に集中しやすいとの指摘がある。
最終集計で平均賃上げ率で回答した5284組合中、300人以上は1468組合と3割近くを占めている。
 
毎月勤労統計は得られるデータはその時点より1カ月以上前の情報になる。
一部の企業に聞くサンプル調査で、定期的に調査対象を入れ替える。
入れ替え前後の企業サンプルが一致せず、断層が生じてしまうとの指摘もある。
 
大和総研の久後翔太郎氏は「今まで短観から雇用人員判断指数(DI)で労働需給について把握できたが、賃金について読み取れなかった。
今後本調査に導入されれば、金融政策を左右する賃金と物価の相互関係をより分析しやすくなるのではないか」と語る。
 
日銀が追加利上げの判断で重視するのは、「賃金と物価の好循環」が強まり、物価上昇率が2%目標に向かって見通し通りに推移するかどうかだ。日銀は現在、企業への聞き取り情報などで、足元や先行きの動きをつかもうとしている。
 
☞「賃金と物価の好循環」=「暮らし易さ」「未来に希望を持てる」に直結しますように!
 

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