2011年度の脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況を公表/厚生労働省
6月
20日
より抜粋
厚生労働省は15日、2011年度の「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」を公表した。
脳・心臓疾患の労災補償
請求、支給決定とも道路貨物運送業が最多
くも膜下出血などの「脳血管疾患」や、心筋梗塞などの「虚血性心疾患等」は、過重な仕事が原因で発症する場合があり、「過労死」とも呼ばれている。
平成23年度のまとめによると、脳・心臓疾患に関する労災補償の請求件数を業種別(大分類)にみた場合、「運輸業、郵便業」(182件、20%)、「卸売業・小売業」(143件、16%)、「製造業」(132件、15%)の順に多く、これらで半数を超える。
支給決定件数も同様に、「運輸業、郵便業」(93件、30%)、「卸売業・小売業」(48件、15%)、「製造業」(41件、13%)の順に多く、これらで約6割を占める。
中分類の業種別にみると、請求件数、支給決定件数とも「運輸業、郵便業」の「道路貨物運送業」(123件、75件)がもっとも多い。
これを年齢別にみると、請求件数、支給決定件数ともに「50~59歳」(314件、119件)、「40~49歳」(228件、95件)、「60歳以上」(227件、60件)――の順に多い。請求件数では40代が25%、50代が35%とこれらで6割、支給決定件数では40代が31%、50代が38%とこれらで約7割を占める。
精神障害の労災補償
事務と専門・技術の従事者で請求半数超、支給決定4割以上
一方、精神障害に関する労災補償状況を職種別(大分類)にみると、請求件数は「事務従事者」(323件)や「専門的・技術的職業従事者」(318件)が多く、全体の半数を占め、これに「販売従事者」(167件)が続く。支給決定件数も「専門的・技術的職業従事者」(78件)や「事務従事者」(59件)で4割以上を占め、これに「販売従事者」(40件)が続く。
年齢別にみると、請求件数については「30~39歳」が420件で全体の3分の1を占め、次いで「40~49歳」が365件で29%、「20~29歳」が247件で19%などとなっている。支給決定件数も同じく、30代が112件で34%、40代が71件で22%、20代が69件で21%などの順となっている。
精神障害の支給決定件数を、それを引き起こした出来事別にみると、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」がもっとも多く52件(16%)、次いで「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」が48件(15%)、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、または暴行を受けた」が40件(12%)などとなっている。
精神障害の労災事案につきましては、周知が進むこともあり、今後さらに増大すると思われます。
業務の要因に限定され、「強」の負荷判定がされますと、労災認定となります。
<認定基準>
① 認定基準の対象となる精神障害を発病していること
② 認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること
③ 業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと
認定基準の対象となる精神障害は、国際疾病分類第10回修正版(ICD-10)第5章「精神および行動の障害」に分類される精神障害であって認知症や頭部外傷などによる障害(F0)およびアルコールや薬物による障害(F1)は除きます。
業務に関連して発病する可能性のある精神障害の代表的なものは、うつ病(F3)や急性ストレス反応(F4)などです
分類コード 疾病の種類
F0 症状性を含む器質性精神障害
F1 精神作用物質使用による精神および行動の障害
F2 統合失調症 統合失調症型障害および妄想性障害
F3 気分[感情]障害
F4 神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害
F5 生理的障害および身体的要因に関連した行動症候群
F6 成人のパーソナリティおよび行動の障害
F7 精神遅滞〔知的障害〕
F8 心理的発達の障害
F9 小児期および青年期に通常発症する行動および情緒の障害、特定不能の精神障害
① 「特別な出来事」としての「極度の長時間労働」
発病直前の極めて長い労働時間を評価します。
【「強」になる例】
・発病直前の1か月におおむね160時間以上の時間外労働を行った場合
・発病直前の3週間におおむね120時間以上の時間外労働を行った場合
② 「出来事 としての長時間労働
発病前の1か月から3か月間の長時間労働を出来事として評価します。
【「強」になる例】
・発病直前の2か月間連続して1月当たりおおむね120時間以上の時間外労働を行った場合
・発病直前の3か月間連続して1月当たりおおむね100時間以上の時間外労働を行った場合
③ 他の出来事と関連した長時間労働
出来事が発生した前や後に恒常的な長時間労働(月100時間程度の時間外労働)があっ
た場合、心理的負荷の強度を修正する要素として評価します。
【「強」になる例】
・転勤して新たな業務に従事し、その後月100時間程度の時間外労働を行った場合
評価期間の特例
認定基準では、発病前おおむね6か月の間に起こった出来事について評価します。
ただし、いじめやセクシュアルハラスメントのように、出来事が繰り返されるものについては、
発病の6か月よりも前にそれが始まり 発病まで継続していたときは それが始まった時
点からの心理的負荷を評価します。
参考までに。
精神障害と労災認定は以下です。
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/040325-15.pdf
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