宇宙の誕生にも説明がつくのかなと。
1月
7日
より
「反物質」などというと、異次元の物質のようで、いかにもSFっぽいが、そうした「この世のものならぬ?物質」の存在が実際に確かめられている。これから、そうした話題に触れていこう。
量子論の土台は、1920年代の後半には、ほぼ完成の域に達していたのだが、その時期にも、量子論をさらに他の理論と融合させていこう作業が残っていた。
そのひとつとして、量子論にアインシュタインの相対性理論を取り入れる作業があった。相対性理論は「時間と空間を統合的にあつかう物理学」であり、特に物質の速度が光の速度(秒速約30万キロメートル)に近づいた時に威力を発揮する理論である。
イギリスのディラック(1902-1984)は、この相対性理論を考慮してシュレーディンガー方程式を整理した。シュレーディンガー方程式では、時間と空間が数学的に別々にあつかわれていたので、それを統合し、電子が光速度近くで動く場合にも式が成り立つようにしたのだ。それがディラック方程式である。
ところが、彼の方程式で電子の振る舞いを計算すると、びっくりするような答えが出てきた。マイナスの電荷(エネルギー的には正)しか持たないとされてきた電子に、なんとプラスの電荷(負のエネルギー)を持つ電子が存在する可能性を示していたのである。
これには、最初ディラックも悩んだが、彼は意を決して「電子と反対の性質を持つ反電子(陽電子)がある」と発表した。そして1932年、アメリカのアンダーソンが宇宙から地球に降り注ぐ宇宙線の中に陽電子を本当に発見したのだった。
ふつう電子と言えば、マイナスの電子を持っていると考える。原子はプラスの電荷を持つ原子核とマイナスの電荷を持つ電子が、電気的に引き合っていると説明してきた。
しかし電子には電荷の符号だけが逆(プラス)で、その他の性質(スピン、重さ、寿命など)がまったく同じものがある。これがプラスの電荷を帯びた陽電子である。これは電子だけに限った話ではない。他の素粒子のほとんどにも、このように電荷の符号だけが違う粒子がある。これを総称して「反粒子(反物質)」という。
陽電子などの反物質は、自然の状態では見られない。だが、ガンマ線同士を衝突させるなどして、真空のある一点に大きなエネルギーを集中させると、電子と陽電子のペアがポッカリ現れる。真空中に反物質のペアが瞬間的に現れることを対生成(ついせいせい)、それらがガンマ線を出してパッと消えることを対消滅(ついしょうめつ)という。
ところで、何にもない真空から、なぜ電子や陽電子が生まれるのか不思議に思うかも知れない。じつは量子論的な真空とは、何もないゼロの状態ではなく、電子と陽電子の生成と消滅を繰り返している状態なのだ。電子と陽電子は、プラスとマイナスで電気的に中性になるので、一見何もない状態に思えるが、実際には仮想的な電子と陽電子が対生成と対消滅を繰り返しているのである。
何かが「ゼロ」である場合、状態は「ゼロ」として確定してしまう。しかし量子論は「状態は不確定である」ことを示したので、哲学的な意味でのゼロの状態はあり得ない。つまり真空とは、電子と陽電子の生成(有)・消滅(無)の間を揺らいでいる状態なのだ。
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最後の行の「つまり真空とは、電子と陽電子の生成(有)・消滅(無)の間を揺らいでいる状態なのだ。」には、凄いドキドキします。
科学的には、人間の輪廻転生は、エネルギーとしてするのかなぁと感じたり。
こういうの非常に楽しいです。
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