元暴力団員への生活保護支給打ち切り却下 ⇒ 支給
10月
4日
より
「組脱退」生活保護認める、宮崎市の却下「不当」
暴力団組員と認定され、宮崎市から生活保護の受給申請を却下された同市の無職男性(60)が「暴力団は脱退しており、却下は不当」などとして市を相手取り、却下処分取り消しを求めた訴訟の判決が3日、宮崎地裁であった。市は宮崎県警の情報を基に組員と認定していたが、島岡大雄
ひろお
裁判長は「脱退したと認めるのが相当。警察情報のみに頼らず、支給の是非を判断するべきだ」などとして、市の処分を取り消した。
暴力団組員に対する生活保護について、厚生労働省は2006年3月、病気などの急迫した時以外は対象としないとの通知を全国の自治体に出した。この中で、暴力団を脱退した際は厳格な調査をして保護の適否を判断するよう求めている。
判決によると、男性は07年8月、暴力団から脱退したとする文書を添えて生活保護を申請。しかし、市は暴力団による絶縁状や破門状がないとして受理しなかった。男性が09年11月、糖尿病などを患って入院したため、市は生活保護支給を決めたが、退院した10年1月に打ち切った。男性は同月、生活保護を再申請したが、市は県警から男性が組員であるとの情報提供を受け、却下した。
(2011年10月4日 読売新聞)
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http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp0-20111004-844745.html
より(同じニュース)
宮崎市の元暴力団員に生活保護認定
宮崎市の元暴力団員(59)が、生活保護を認めなかった宮崎市の処分は違法として、保護申請の却下や保護廃止を取り消すよう求めた訴訟で、宮崎地裁は3日、「暴力団所属とは認められず、処分は違法」として請求を認める判決を言い渡した。宮崎県警の情報で組員と判断した市に対し、「証拠はない」と退けた。暴力団排除条例が東京と沖縄で1日から施行され、全国で同様の条例が出そろったが、組員の「現役」と「元」の線引きは難しいという現実が浮き彫りになった。
判決によると、男性は03年に暴力団を脱退した。しかし重い糖尿病で働けず、05年と07年に生活保護の相談をしたが、市は暴力団脱退の証拠がないとして申請書を交付せず、脱退届などを添えた申請も受理しなかった。昨年の生活保護申請も却下。その後、入院時だけ一時支給されたが、退院時に廃止された。
島岡大雄裁判長は判決理由で「男性は就労不能で、暴力団も脱退しており、市は保護をする義務があった」と認定。「暴力団に所属して収入を得ていたとは認められず、処分は違法」とした。市は宮崎県警に問い合わせ、組員だという回答があったため「保護の要件を満たさない」と主張したが、島岡裁判長は「事務所への出入りなどはなく、組員だとの証拠はない。県警の暴力団情報は随時更新しておらず、市は県警の情報だけを頼ってはならない」として退けた。
元暴力団組員の原告男性は「やっと1人の人間として扱ってもらえると思った。つらかった。同じ状況で苦しんでいる人もいる。負けても勝っても、闘っていかなければいけないと思ってやった」と話した。
厚生労働省は06年3月、暴力団組員への生活保護費の支給が暴力団の資金源になっている恐れがあるとして、組員には生活保護費を原則として支給しないよう全国の自治体に通知。今回の宮崎市の処分は、厚労省のガイドラインに沿ったものだった。宮崎市役所社会福祉課は「県警に何度も照会して、組員であることを確認した。我々に捜査権があるわけではないし、警察の資料を頼る以外に方法はない」と明かした。今後は国と相談し、控訴するかどうか検討するという。
宮崎県では今年3月に暴力団排除条例が制定された。暴力団を市民生活から排除する仕組みは全国47都道府県で出来ているが、暴力団組員であることの判定という難題は残されたままだ。
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現役か脱退したかの線引きを絶縁状や波紋状で確認し、裁判所は実態で判断したということですね。一般企業のように離職証明書が無いですから。
通達に従い、警察に照会を掛けて市は判断してます。警察の情報が随時更新されていないので、市は警察だけの情報に頼ってはいけないという裁判所のお達しです。
さて、今後、市はどういう風に情報を収集すれば良いのでしょう。周辺住民への聞き取り調査でしょうか。組員の情報をどのように収集し、更新していくのでしょう。県警のリストでさえ不正確なものを。