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過労自殺事件

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過労自殺事件
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110905/trl11090506590001-n1.htm
より

「倒れそうです」 新入男性社員「猛暑配慮なく過労自殺」 両親、運送会社を提訴へ

 自動販売機に清涼飲料水を補充する仕事をしていた兵庫県尼崎市の男性=当時(27)=が、入社約4カ月後の平成20年8月に過労自殺したのは、繁忙期の猛暑にかかる負担への配慮がなかったためとして、両親が男性の勤務先だった大阪市住之江区の運送会社に対し、約8280万円の損害賠償を求める訴えを7日に大阪地裁へ起こすことが4日、関係者への取材で分かった。

 大阪西労働基準監督署は22年6月、自殺1カ月前の時間外労働(残業)が100時間を超えていたなどとして、労働災害(労災)を認定。運送会社の代理人弁護士は産経新聞の取材に「安全配慮義務違反はなかったと考えている。提訴されれば、きちんと主張して争いたい」と話している。

 訴えによると、男性は20年4月に入社後、大手飲料メーカーの清涼飲料水を積んでトラックを運転し、ノルマとして1日15台前後の自販機を巡回、商品を補充していた。ほかに自販機の故障や客からの苦情があれば対応しており、出発前の洗車や帰社後の商品搬入なども業務だった。

 気象庁によると、20年7月の31日間のうち、大阪では最高気温30度以上の真夏日が24日間、35度以上の猛暑日は5日間あった。男性の両親に対し、会社関係者は「商品が一瞬で売れ、全員くたくただった」と明かしたという。

 自殺する1週間前の7月26日の業務日報には、男性が「倒れそうです」と書き残し、同僚の従業員も「体調管理したいです」などと過労を訴える記述をしていた。父親(64)は「このとき会社が何とかしていれば、息子は死んでいなかった」と話している。

 男性は就職氷河期さなかの15年に大学を卒業しており、運送会社に正社員として採用されるまでの5年間はアルバイトなどを続けていた。遺品には、ぼろぼろに使い古した担当地域の地図や商品コードを覚えるための自作の単語カードもあり、両親の代理人の上出恭子弁護士は「男性はようやくつかんだ正社員の職を捨てるまいと、必死で仕事をしていた」と話している。
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 これは、辛い記事です。業務日報の文字が更に辛さを増します。
御冥福をお祈り申し上げます。

 一方、入社後約4カ月で自殺してしまうとは、会社も考えが及ばなかったでしょう。
しかし、夏場に時間外労働が月間100時間超でのこの事件は、会社は安全配慮義務違反を問われても仕方ないように思えます。自動販売機の補充業務ですから、手の早い遅いの問題とも思えません。

 36協定を結べば休日・時間外労働が協定の範囲内で可能になります。酷い会社になると、所定労働時間8時間休憩1時間 残業15時間なんて所もあり得ます。クライアント先で、業務日報やタイムカードをチェックする時、私も必ず時間外労働の削減は指摘します。未払い賃金の確認と併せて行います。

 物理的な課題は、物理的な方法でしか解決しません。機械化で無理なのであれば、結局は、人手を増やすという事になります。契約料や委託料が叩かれる中で、会社は人件費を抱え込めない状況に追い込まれます。会社は仕事を断れないので、結局は会社の一番弱い部分にシワ寄せがいきます。その結果・・・

 寝食を忘れて仕事に没頭する時期があるのは肯定の立場です。しかし、今回の事件は、そういう意味ではなく、物理的な処理量と勤務環境の厳しさが原因です。本人の耐性は不明ですが、恐らく限界まで頑張っておられたでしょう。それが原因で、このような事件にまで発展してしまうと、最悪、会社も倒れてしまいます。そうならないように事前にケアするのが私の仕事でもありますが、低い収益性の会社の場合ですと、本当に追い込まれます。社員もそれを分かっているので、出来る限り頑張ります。会社も社員もギリギリの所で戦っている所も少なくありません。

 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110809/trl11080914240003-n3.htm
には、「シカゴ・トリビューンは記事の中で「労働への狂信的な献身が、日本を戦後の廃虚から世界で最も豊かな国に引き上げた」と、高度成長の負の側面として過労死をとらえていた。」とあります。「Karoshi」と日本語で記述される昨今です。

 人も会社も生き抜かなければ、報われない、救われない。あの頃はキツかったなぁと笑えるように乗り越えないといけません。が、それを安易に許さない経済環境と人道的・社会的・法的な責任との間で会社は社員を守りながら強くならないといけません。その会社を支えるのが社員なのであり、メビウスの輪のようなジレンマです。

 このような背景もあり、日本はILO条約の4分の1しか批准できていません。かつて高度経済成長期の頃のように、頑張れば報われるという時代ではなくなってます。厳しい経営判断をしていかないといけない時代です。
 
 厳しい経済戦争の渦中で、自社の強みは何かと徹底的に見据えて、選択と集中。その結果を受けて、修正しながら一緒に走りましょう。

 

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