ウチクルス!で解雇は無効。
9月
6日
沖縄タイムスより 2011年9月2日
米軍上司のパワーハラスメントによる解雇無効が認められた2010年12月の控訴審判決が確定していた北中城村の安里治さん(50)が1日、米軍キャンプ瑞慶覧の自動車整備工に復職した。解雇から約3年8カ月。前日は不安で眠れなかったというが「職場も温かく迎えてくれて安心した。復職は皆さんのおかげ。これから頑張りたい」と述べて支援者に感謝し、気持ちを新たにした。
ことし4月上旬、沖縄防衛局から代理人を通して復職条件の打診があったというが、同じ海兵隊で「また嫌がらせされる」と困惑した。8月上旬、同局から「安里さんが安心して働けるように注視する」と確約をもらい、勇気を出した。
雇用関係も解雇前の諸機関労務協約ではなく、米軍が制裁を科す理由とする違反行為に厳密性が求められるという基本労務契約へ変更されたことに安堵(あんど)した。
訴訟で安里さんの代理人だった池宮城紀夫弁護士は「米軍や防衛局は今後、安里さんに限らず、基地内労働者の環境改善に最大限努力すべきだ」と語った。
-----------------------------------
この事案は、2007年1月に、原告が米国人上司を励ますために、別の米国人上司に対して言った悪口を、米軍側から「殺すと脅迫した」と判断されたことなどを理由に、同年12月に懲戒解雇されたもので、訴訟では、原告は「懲らしめてやる」との意味で「ウチクルス」と発言したと主張し、国側は「殺す」と発言したとして争われたものです。
二審判決後でも、米軍側は解雇無効であっても諸機関労務協約を根拠にして、復職拒否で難航したようです。
しかし、福岡高裁那覇支部の判決には、以下が付記されております。
「したがって、本件が在日米軍が従業員の復職を拒むことができる「軍紀の維持のかく乱を含む安全上の理由による解雇事案」(諸機関労務協約主文第5条c)に該当しないことは明らかである」
裂帛の気迫を感じます。
「ウチクルス」と言っただけで、軍規維持のかく乱を含む安全上の理由にもならないし、懲戒解雇は無効であると言ってます。
みなさんの会社でも社長に対して、「あいつを懲らしめてやる!」という言葉を吐いても解雇できないということになりますが、好んでそんな言葉を吐いていれば何らかの処分が飛んできてもおかしくはありません。特に正当性も無い場合は、単なる誹謗中傷であって、酒の席での愚痴としても度を越してるでしょう。
信頼関係があれば、多少キツイ表現であっても問題は起こりません。信頼関係と節度ある言動は、いわゆるモラルの範疇と捉えてしまいます。
ミスコミュニケーションとモラルハザードが原因で解雇問題に発展したように取れますが、実際はどうなんでしょうね。
ただ、軍規に対しては、軍隊に居た経験がなければ、そのニュアンスを正確に理解できませんが、50歳前の自動車整備工に対して、米軍はデリケートな反応だなと感じてしまいます。
因みにこの方の給料は、思いやり予算からですよね。
何だかなーと思います。