判例3件(労災・割増賃金・思想)
7月
27日
心臓障害を抱えて愛知県豊川市の家電量販店で働き、2000年に死亡した男性=当時(37)=の妻が、遺族補償年金を不支給とした国の処分取り消しを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(宮川光治裁判長)は22日までに、国側の上告を受理しない決定をした。
過労による労災と認めた原告逆転勝訴の二審判決が確定した。21日付。
一審名古屋地裁は「心臓疾患の危険が増えるとされる時間外労働の1カ月45時間を下回っている」と平均的労働者の労災基準を基に請求を棄却。
しかし二審名古屋高裁は「身体障害者への労災適用の判断基準は平均的労働者ではなく、個別の事情を考慮すべきだ」と指摘。
医師に禁じられた月33時間の時間外労働があった点などから「過重業務による疲労、ストレスの蓄積で死亡した」と判断した。
二審判決によると、男性は心臓機能障害の身体障害者3級だった。
00年11月に家電量販店に採用されたが、翌月、致死性不整脈で死亡。
豊橋労働基準監督署は遺族の労災申請を認めず、再審査請求も退けられていた。
(共同通信)7月22日
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労災認定基準は固定的なものではなく、個別事情を総合的に判断すべきという判例です。
Drからの月33時間の時間外労働の禁止という診断がなされていたというのが大きな要素であったと思われます。
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「割増賃金、相殺は違法」/タクシー会社に支払い命令
時間外や深夜労働の割増賃金が支給されないとして、タクシー運転手の男性4人が札幌市清田区の三和交通に未払い賃金など計約860万円を請求した訴訟の判決で、札幌地裁は25日、計約520万円の支払いを命じた。
判決理由で千葉和則裁判長は「賃金規定上、割増賃金を支払うよう定めているが、歩合給を調整することで結局、増額分を相殺している。労働基準法違反だ」と述べた。
判決によると、三和交通は、時間外や深夜に働くと割り増し分を支払う一方、歩合給が減る仕組みを採用。実質的には割増賃金が支払われず、2008年1月~10年3月の4人への不支給額は計約300万円に上った。
三和交通は「納得できず、控訴も含めて検討したい」とコメントした。
(共同通信)7月25日
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月例賃金を固定費化したいのは分かりますが、給与の中身を毎月イジルことで総支給額が同額になるよう調整するのはダメという判断です。
結局、歩合給が本来の歩合給として機能せず、単なる総額を同一にするためのクッションの役目をしているだけですので。
基本給+手当(時間外労働〇時間分)といった形での固定費化でないと認められないでしょう。
これも時間外労働削減やQWL向上の流れの中で、予め残業を想定しているのは好ましくないと言われそうな状況でもあります。
私のクライアントさんでは、数社この対策をさせて頂きました。持って行き方を間違えるとモチベーションダウンしますので、やはりコミュニケーションの重要性を再認識致します。
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職務命令違反の処分適法 / 国旗国歌訴訟で東京地裁
学校行事で日の丸に向かって起立し君が代を斉唱させるよう指示した都教育長の通達や、通達に基づく校長の職務命令は違憲として、東京都立学校の教職員ら66人が命令違反を理由とする都教委の懲戒処分取り消しなどを求めた訴訟の判決で、東京地裁は25日、合憲と判断した上で、処分にも裁量権の乱用、逸脱はないとして請求を棄却した。原告側は控訴の方針。
職務命令については既に最高裁が合憲の判断を示しており、青野洋士裁判長も「思想、良心の自由の間接的な制約となる面があるが、通達や職務命令は儀礼的所作を求めて行事の円滑な進行を図るもので、許容し得る程度の必要性や合理性が認められる」と述べた。命令違反についても「軽微な違反とは言えない」と処分は適法とした。
66人のうち停職や減給とされた18人が、先立つ戒告処分の不当性を争った訴訟は、東京高裁が3月、合憲とする一方、裁量権の逸脱を認める判決を言い渡し、審理が最高裁に持ち込まれている。
判決によると、66人は2005~06年の入学式と卒業式で斉唱時の起立やピアノ伴奏を拒否。停職や減給、戒告とされた。
(共同通信)7月25日
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最高裁の判断に注目したいです。
社員が、自社の象徴に対して敬意を払い、礼節を保てないなら・・・辞めれば?となると思うのですが。
歴史的な背景、経緯もあるのでしょうけど・・・
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