第4回医療裁判外紛争解決(ADR)機関連絡調整会議議事録より
7月
17日
〇 裁判長から、「今は医療崩壊の状況があり、医療機関を守ること考慮しなければいけない」
〇 患者側の勝訴判決と和解で終わる事件の合計件数の統計を数字で追っていくと、ここ3年ずっと6割
〇 患者側が全面的に負ける事件は25%しかない
裁判長が医療崩壊という言を発しているのがシリアスです。
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2011年6月13日
第4回医療裁判外紛争解決(ADR)機関連絡調整会議議事録
医政局総務課医療安全推進室
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001j3s6.html
より抜粋
○橋場構成員 ADR設立のときのプロセスも大事だというお話がありました。札幌の場合、さすがに病院側の顧問弁護士が委員会に入ってADRの設立準備に携わることにはなりませんでしたが、その弁護士事務所の勤務弁護士が設立委員会に加わることを了解いただきました。そのような設立経過もあってか、札幌では受理事件の約7割に応諾していただいているのです。医師会に対する説明も彼らが行いまして、医療ADRの制度設計につき詳しく説明しております。そういったことによって風通しがよくなっているのではないかという気がします。
それから、先ほど患者側の代表の方からお話があったとおり、最高裁の統計データが最近出まして、裁判になった場合、判決で原告が勝つ割合は20.6%まで減ったのです。ただ、札幌もそうなのですが、裁判にとなっても、医療過誤訴訟は和解で解決する率が多くて、患者側の勝訴判決と和解で終わる事件の合計件数の統計を数字で追っていくと、ここ3年ずっと6割なのです。ほぼ6割で横這いです。札幌の場合は、同じ数字でいくと7割5分がここ5、6年の統計です。75%が和解もしくは患者側の勝訴判決で終わっている。患者側が全面的に負ける事件は25%しかないというところで推移していますので、裁判になっても、話合いで解決している件数が多いというのが現状です。
○富澤民事局付 統計のお話がありましたので、若干、医事関係訴訟に関する統計のご紹介をさせていただきます。先ほどもご紹介がありましたとおり、医事関係訴訟の認容率は、平成22年ですと20.6%であり減少傾向にあります。他方、和解率を見ると、平成13年では44%であったのが、平成22年では53%と、10%ほど上がっており、認容率の低下は、和解率増加の影響を受けている可能性があります。医事関係訴訟を話合いで解決するという気運は、かなり高まっており、同様に、話し合いでの紛争解決機関であるADRを利用して医事紛争を解決するという気運も高まっているのではないかという印象を個人的に受けております。以上です。
○宮脇構成員 被害者のほうから言いますと、和解の席で裁判長から、「今は医療崩壊の状況があり、医療機関を守ること考慮しなければいけない」と話があり、被害者にとって厳しい条件で、和解が進められる状況があるのです。裁判長の話を聞くと、被害者は、これ以上は戦えないというか、公判を維持するだけでも大変なのですが、非常に低い額で泣く泣く和解に応じるという話はよく聞きますので、もう万策尽きてるのだなと思います。 そういう方々は、ある程度納得した形で和解になったのかな、相当大きな傷を残した形での和解になっていなければいいがな、という思いはあるのです。だから、そういう和解の中身について、被害者にとっては随分厳しい状況になっているという認識を我々としては持っています。