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1903年から907年までアメリカで暮らした永井荷風が、1908年に出版した『あめりか物語』。そこに出て来る日本人町や中華街の様子についてこれまで記しましたが、今日は個人的にこの小説の中で印象に残った文章を紹介します。 ”荒野の夕暮れは人生の悲哀、生存の苦痛を思出させる。” アメリカの...
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昨日、永井荷風が描いたニューヨークの中華街について紹介しましたが、そこで春をひさぐアメリカ人娼婦の廃人ぶりは胸に迫ってくるものがありました――「私だって(度の差こそあれ)こうなり得る」と身につまされたのです。 『あめりか物語』は小説なので脚色があることを忘れてはいけませんが、花街に並々な...
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先日、永井荷風が描いた1903年頃のシアトル・日本人町がエグいという話を書きましたが、同『あめりか物語』内で描かれたニューヨーク・中華街の貧民窟ぶりは日本人町の比ではありません。 ”紐育の中の貧民窟という貧民窟、汚辱の土地という土地は対外歩き廻ったが、ああ! この恐るべき欲望を満すに...
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ロサンゼルスにはかの有名な日本人町・リトルトーキョーがありますが、シアトルの日本人町もかつてはかなりの賑わいだったんですね。永井荷風の『あめりか物語』を読むまで、想像もしていませんでした。 荷風は1903年、24歳の時に渡米し、1907年までアメリカで暮らしました。その後、1908年...