既得権益の誇示と欠如
6月
30日
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/84545
>>>バラエティ番組では『私、ニューハーフみたいって言われるんですよー』とか、
>>>直接『男女』みたいなことで笑いをとられることもあって。
>>>セクシュアリティを公表すると、
>>>なぜか『なんでも言っていい』になっていったんですよね。
>>>人が傷つくかどうかとか、
>>>何の疑問もなくデリカシーのない質問やコメントをされる。
>>>そこが“うまみ”と思われているんだな、と。
>>>でも、自分で公表したことだし、
>>>いちいち傷ついてる自分の方がおかしいのかな?って。
>>>自分が甘いんだって思い込んでいて、
>>>地獄のような日々でした。
これ、似たようなことを
椿姫彩菜さんも著書に書いていた気がする。
「いつ目覚めたの?」みたいな質問をされるのが、
ものすごく嫌だったと。
中には、そういうことをひとつの「売り」として、
笑って受け流したり切り返したりする人もいるけれど、
みんながみんな、そうではないと。
これ、次元は違うのかもしれないけれど、
女性に対するセクハラと、
それに対する処世術に相通ずるものがある気がするんですよね。
セクハラまがいの言動をされても、
笑って受け流したり、
うまく切り返したりできなきゃダメだよ、みたいな。
その言動をした人は何のお咎めも無しで、
言われた方は、うまく対応できなきゃダメ、みたいな。
最近はようやく、
発言者へのバッシングも起きるようになってきたけど、
発言が炎上したらしたで、
発言者はその理由をろくに考えもせずに、
口先だけで謝罪して、
「めんどくさい世の中だなぁ」とか、
「つまらない世の中だなぁ」とか、
悪びれることなくぼやいて、
終わってしまうことが多い気がする。
ドラマ「問題のあるレストラン」で
高畑充希さんが演じた、
川奈藍里をものすごく思い出す。
>>>「その服男受け悪いよ」とか言われても、
>>>「ああ、すいません気をつけまーす」って返せる教習所も卒業したんで。
>>>「痩せろ」とか「ヤらせろ」とか言われても、
>>>笑ってごまかせる教習所も出ました。
>>>免許証、お財布にパンッパンに入ってます。
>>>痴漢されたら、スカートはいてる方が悪いんです。
>>>好きじゃない男の人に食事に誘われて断るのは、
>>>偉そうな勘違い女なので駄目です。
>>>セクハラされたら先方は温もりがほしかっただけなので許しましょう。
>>>悪気はないので、こっちはスルーして受け入れるのが正解です。
>>>どうしてしずかちゃんはいつも駄目な男と偉そうな金持ちの男と暴力ふるう男とばかり仲良くしてるか分りますか?
>>>どうしていつもお風呂場覗かれてもすぐに機嫌直すか分りますか?
>>>どうして女友達がいないか分りますか?
>>>彼女も免許証いっぱい持ってるんだと思います。
女は、性的マイノリティは、
免許証をいっぱい持っていなければダメなのか。
そうでなければ、生きていてはいけないのか。
テレビに出演してはいけないのか。
男性がそのような偏見や屈辱にさらされることが
ないとは言わない。
だけど、どうしても私は女性なので、
女性目線になってしまう。
旧態依然とした男社会で多く見られる、
構造的かつ意識的な問題に思えてしまう。
特に政界とテレビ業界はこの手のことが多い印象。
自分たちは悠然と土俵に立っていながら、
実態置き去りの身勝手な空想で作り上げた「台本」片手に、
土俵に立てない人間を嘲笑ったり、
哀れんだりするんです。
土俵に上がれない「ネズミ」が
不意に噛みつこうものなら、
けしからんと払いのけて、
「払いのける自由はあるだろう」と、
「払いのけることすらできなくなった世の中なのか」と、
逆切れしたり嘆いたりするんですよ。
どうして自分は土俵に立てているのか、
どうして「ネズミ」は土俵に上がれないのか。
そしてどうして自分は噛み付かれたのか。
そこら辺を何ら考えることなく、
既得権益を振りかざして、
噛みつかれた不運を嘆くんです。
「あ~あ、噛み付かれちゃったよ」、
「ついてないなぁ」って。
「こんなことで噛みつかれるなんて、
めんどくさい世の中になったなぁ」って。
あなたがたの「娯楽」が、
「おもしろい世の中」が、
どれほどの犠牲の上に成り立っているのか、
微塵も考えようとはせずに、のたまうんです。
そりゃあ、既得権益のない人間は、
生きづらいなんてもんじゃないですよ。