自分の人生や命までもが、はるかな過去と静かにつながっている気がしてきます。
1月
1日
蔵の奥で、長いあいだ息をひそめていた一枚の銅銭。手に取ると、ひんやりとした重みが掌に残り、胸の奥に小さな波紋が広がりました。
刻まれているのは「咸平元宝」。
千年以上前、宋の都で鋳造された貨幣が、いま私の手元にある――
ただそれだけの事実が、妙に心を高鳴らせます。
これまで歴史とは、年号と出来事を正しく並べるためのものでした。試験のために覚え、やがて忘れていく知識。
そこに人の息づかいや、時間の匂いを感じる余地は、正直あまりなかったように思います。
けれど、この宋銭を前にすると、歴史は突然、体温を持ち始めました。この銭は、かつて誰かの暮らしの中にあり、
市で品物を買い、港で荷を動かし、もしかすると平清盛の時代、
日宋貿易で賑わう博多の波音を聞いていたのかもしれません。
銅の表面に刻まれた摩耗は、単なる古さではありません。
それは、無名の人々の手の温もりであり、懸命に生きた時間の積み重ねです。
その連なりの果てに、この銭は蔵に収まり、そして今、私と向き合っています。

















