らしくの始まりは
風に吹かれても風を感じず
水面に手を入れても感覚がなく
そこにいたことも何かをしたことも
何も無いところで僕に起こる
らしく自体が僕自身にはなく
誰かに見える点線で枠が描かれ
その型取について聞かされ
僕は誰かと比べられてしまう
双方の現実は重なることを知らない
らしくの僕はあなたにあって
あなたのらしくは僕にあるのだから
鬼ごっこは続いてしまう
あなたにある僕らしさに囚われて
何が楽しいというのだろうか
らしくの終わりは頭の重さに
その言葉だけ記憶喪失してしまう
裸足のままあっちへそっちへこっちへ
僕は力が抜けて歩けることを知り
一番大切から遠ざかるほどに心地よい