とくに故人様へ 線香を焚いているわけではなく その煙と香りを楽しむために 作業台の片隅に一本が立っている 娘には線香くさいといわれ 最近はフルーツの香りがしたり 甘いキャンディやコーヒー牛乳の 香りがするものを焚いている 線香の箱には最後の一本 若い頃 タバコを吸っていた時のように 最後の一本に不安定な気持となり インターネットで次の線香を注文する 自分のために線香を焚いているが たまには故人様へ手を合わせないと バチが当たるのではないか 仏様に見られている気がして 少し疲れているのだろうか心が そこに線香の煙と香りが沁み込んでくる 生きている己に今日も癒しの一本は 何処かに繋いでくれるのだろう