見られることはなるべく避けたい だから派手な服なんて着たもんなら へとへとに疲れてしまう なるべく雑草のようになんとなくそこで 限りなく空気に近い存在となって 花を咲かせている者をこっそり眺める それくらいの楽しみがちょうどいい 仕事が終わればひっそりと ひとりになりたいから 歓迎会、忘年会、送別会なんて なくなってしまえばいいのに ずっとそう思っていた 気を遣う自分にやはり 疲れてしまうのだから コロナ感染が蔓延して数年 そのような会がなくなったことだけは ラッキーだった なんだかんだ言って 結局は自己中心思考なんだろう ひとりでは何も結果を出せないのに 協調性を保とうとしないのだから 生き辛そうなことまで呟き きっと自分に都合の良い人間なんだ そして今朝 桜が散り若葉が青々とする道のりを 着ていくシャツが決まらなくて そこでまた疲れてしまう これしかないのかと 店員に勧められ購入した 一度も着れなかった 薄紅のシャツを仕方なく身につけ どうしたら目立たず 一日を過ごせるかと端っこを歩く 背後から知り合いに声を掛けられ ドキッとしながら振り向き 口もとを無理やりあげて おはようございます と返した自分の声が思った以上に 大きくて驚いた 今日はいつも以上に疲れそうだ だけど もうどうでもいいんじゃん自分 そんな気持ちが初めて芽生え始めた 自分を過保護にするのに疲れたのか 不思議な春の一日が始まった