十二歳
9月
12日
詩が書けなくなった時
詩が書けなくなった詩を書き
やはり詩を書いているのだから
僕は詩に救われている
気持ちがなくなれば
何も表現することは出来ないが
生きている限り気持ちはここにあり
自分を見つめ続けることが出来ている
残念ながら
僕が詩を書くきっかけとなった
十二歳の詩人は気持ちをこの世で詩として残し
大空へ飛び去っていた
ひとり ただくずれさるのを まつだけ
詩集の表紙には
紙ひこうきの絵とこの言葉が書かれていた
その衝撃を未だに忘れることはない
どうしようもない気持ちを書いて良いんだ
そして優しく鋭く知的で格好良い詩だと感じていた
十二歳で詩を書くことを終える詩人がいて
十二歳で詩を書き始めた僕がいた
詩では命を救われなかった詩人の詩から
張り詰めた空気にある新しい景色を見せてもらった
僕にとって暗闇の中にある輝きに満ちた世界
きっと僕と同じように救われた者たちがいただろう
意味のない命などないということだ
僕はこれから先も詩を書き続けるだろう
そしていつの日か曇り空の上
もしその詩人と出会うことが出来たのなら
微笑んでありがとうを伝えたい