固まった身体は痛みの中 もう限界だ、と手を雲へ伸ばし どうかこれ以上、苦しまずに連れて行ってくれ 張り付いた喉、膨らむ患部、激痛、縛られた意志 運命は残酷に自分を躊躇なく壊して行く 未練ばかりの人生でも早く早く、と 声に出来ない叫びが伝わったのか 医師の処方により萎えた藁を握りしめながら 流し込まれた麻薬に…… 姑息の間(ま)にひとつ願っている 朦朧とした記憶にある家族に会いたい、と ✳︎ お父さん 涙を流しているよ みんなのことが解っているみたい 覚えのある声、温もり 薄っすらと開けた目から 光と優しい感情 お父さん お父さん 口の動きで聴こえているだろうか 大丈夫だよ、が お父さん お父さん 口の動きで聴こえているだろうか ありがとう、が お父さん お父さん 口の動きで聴こえているだろうか 幸せだったよ、が お父さん お父さん 口の動きで聴こえているだろうか 嬉し涙だよ、が