五分
6月
20日
歯も磨かず、風呂にも入らず
床が誘っていた
ここで横になりなさい、と
倒れ込めば手のひらが
床を握っていた
ちょっとくらいいいか、と
瞼は落ちたがっている
ほらっ、寝入った……
……おっと、寝てしまったようだ
五時間ほど経っただろうか
時計を見ると五分しか経っていない
いや、もしかすると
二十四時間五分も経っているのかも
とても深く質の良い時間を感じたような……
起き上がり階段を降りる
やはり身体は重たい
そしてデバイスのホームボタンを押し
指紋認証で画面を表示
五分が経っていただけだったのだ
今日という日を見た
ああ、この五分の話はすべて夢だ
寝ているのか、生きているのかも
怪しくなっている
床に身体が半分埋まっているんだ
きっと