言葉がぷかぷかと 浮かんで来たところを 虫取り網を振り回し 飛び跳ね引っ掛かった 鈍間な言葉たちを虫かごに入れ 隣村に住んでいる詩人さんへ 今日の収穫を見せに せっせと歩いて行った 山をひとつ越えるので 足には熊のマメが出来た 熊が身体を引っ張ってくれて 楽に進むことができた 詩人さんは家の前で 大きなへの字を滑り台にして 難しい漢字を滑らしながら にやにや笑っていた 虫かごを詩人さんに見せると への字の滑り台を立てて くの字の登り棒にした これに登らせなさい と言うので虫かごの蓋を開けた 言葉たちは勢いよく登り始めたが 曲がったところで団子になり落ちた