旨
3月
19日
床に転がり仰向けになり
矢印みたいに両手をひろげ
調子が良かった頃を思い出す
垂らす涙はきっと汚れている
わかっている
身体はすでに過去の輝き
握力のなくなっていく
左手は細く萎んで
捨てろ忘れろ消してしまえ
比べて僻む心など
しかし
自分の中にある情けなさが
未練となり辛く重たくさせる
俺は終わりたいのだろうか
初めて吐く言葉に
自分の返答を待っている
脱力も見逃さぬ痛みの中
逃げの言葉は救う術を知らず
俺はまだ終わりたくなどない
誰にも見られたくない
何時もと違う立ち上がり方に
歯をくいしばっている
こんちくしょうと吐き出し
一粒の錠剤を流し込み
まだある意地が俺を保っている