冬の狭間
1月
28日
私の疲れた塊に薬が流れ
久しぶりの眠りの後は焦燥感
いつか何処かの回想に現実が濁る
消費する時間に慄いて
何も無かった休日の虚しさを
埋めるために実家へ急ぐ
母の為と言い訳をしながら
流しの食器を洗う手が速まる
歩道の端に積まれた雪
柔軟な心を忘れて固まった塊
溶けて無くなるのを待つだけの轍
カタチは時間を想像させ
苦笑いのように反射する光の鈍さ
揺れる電車には能面が並ぶ
私が心を動かさなければ
世間は隙間から冷たさを吐き出す
開いたドアは閉じる往復を忘れ
終着駅からも追い出される
年老いた母が雪を掻く
玄関までの三十センチ幅の小道
目の高さにある蝋梅から
過ぎた時間を埋める香りがした