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詩は元気です ☆ 齋藤純二

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私たちの更生

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卑屈な重力を持つ教室
窓から飽きるほどの時間を眺め
椅子にカラダを落としていた

彼はあれから
どんな人生を送ったのだろう
中学生の頃から
随分と月日が経ってしまった


ソリコミから汗が滲みると
ハンカチを当てながら痛いという

革鞄の薄さを自慢

ボンタンのタックを深く深く
ツッパリを着飾る
(ボンタン : 変形学生ズボン)

そして
黒マスクの下はあざだらけ

アナーキーと黒の文化がそこにはあり
彼の生きて行ける場所は
もうそこにしかなかったのだろう

ほとんど学校には来ない彼
たまに来れば教室で話す相手は私だけ
先生に背を向け
アウトローな話に私が頷くような会話
彼は大人にも平気で文句を吐き
兄貴みたいな気もしたが
自分のことを見て欲しいという
弟のような存在でもあった

珍しく彼が体育の授業に姿を現わす
サッカーの試合だった
私にわざと体当たりした生徒がいて
彼は「お前、シメるぞ」と
いった時にはもう殴っていた
先生は見ぬふりしている
彼はボールを
あさっての方へ蹴飛ばし姿を消す

私を思ってのことだった

暴力はいけないけれど
私はその時に嬉しさを感じた
守られているということではない
彼との友情がそこにあって
心を揺さぶられたからだ

それから間もなく彼は暴力事件を起こし
サイレンの音と共に姿を消した


大人になって強く思う
優しさと育むための整った環境が
とても大切であると

また
彼のような少年少女への
更生だけが必要なのではなく
重要なのは正常だと思っている大人が
冷たい心の持ち主で
更生しなければならないのは
大人の方かもしれないということだ

自分以外の者を思いやるのは
やはり面倒で厄介なのかもしれない

いつも自分が一番大事だから

しかし
私たちはその言葉に違和感を持ち
時代は流れて少年少女たちの
苦悩のメッセージがカタチを変えても
そこに気づき手を差し伸べ
救われる将来や命の為に健全な大人が
健全な社会を築かなければならない

自分の為だけに生きようとする社会なら
それを私たちは社会といわない


#詩

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