起立 礼 はーい、二時限目は 『時化た感じで青春花火を』だ 今までウケなかった 小噺をギュウギュウ詰めにして なるべく時化た感じでしょぼくれた あらら、の言葉が飛ぶくらい つまらないストーリーで固め 一番その爆弾が欲しくないひとに 花火として打ちあげてもらう なぜなら 恋の花が咲くかもしれないし その火をつけた化学変化ときたら まさに時間を止めてしまう衝撃だからね はい、ではモニターを見てくれ デカイのが打ちあがるかな 一秒、二秒、三秒 ええと十秒、二十秒、三十秒、 おっと一分、十分 なな、なんと一時間 二時間、三時間 どうなってんだ、五時間、十時間 さらに、さらに、どうなっているんだ一日 早く爆発しないと頂点のない三角定規に なってしまうじゃないかーい でもこの時化た価値観の解放、最高 タン、タン、タン、ターン 突然の校内放送です 校長先生よりお話があります 青さんが赤さんに緑さんって言ったら それを聞いていた赤さんが怒って 間違って緑さんを責めて 緑さんが青さんに どうして間違ったと訊けば ほんとうは俺が緑で けっきょく青さんって誰? という話になったようです タン、タン、タン、ターン では、授業に戻るぞ けっきょく、分度器博士が上手くまとめいるよ 二十二ページ 君の価値観角度は三度、まだまだ そこのおじさんは二度、まだイケるでしょ ほいほい、そこのお嬢さんは残念、地面スレスレだけど 足りないねえ時化た角度が もっと限りなくゼロ度に近くならないとダメ、ダメ 小噺にはスベるをたくさん入れなくちゃ そう、スベることの連続が大事だね スベるには角度がありすぎると ウケちゃうからね 床に紙がスベるような丁度よさが必要だ スベるを繰り返すことによって 苦笑いが爆笑に変わって けっきょくドカンとあがちゃうんだよね 下敷きを擦って髪の毛が逆立つように なあ、いいこと分度器博士は言っているだろ ところで先生 この授業からなにを学べばいいのですか うーん、いい質問だ 恋すること、と 君らの時化た思いが詰められた 新しい世界の構築ってところだよ 咲かない花、見たいだろ 咲かないから見えないけど 頑張って見えないものを見ようとする それが君たちの青春だよ はい、では収まりがよろしいようで この辺で二時限目の授業は終わり 三時限目は『 戯けた感じでニヤリ爆弾を』 チャイムが鳴り終わる前に早弁(早弁当)を 終わらせておけよ、以上 起立 礼