詩人が駅前を文学館に 向かって歩いている ひとが誰もいない不思議な街 2017年4月8日 駅のロータリーを抜けると 曇り空に合わせた演出 靴音だけが異空間に響く 詩人が歩くと街中のひと達が 寂しさから遠ざかろうと 街の外れまで逃げてしまった 寂しさに寂しさを重ね 川の流れだけが肯定を見せる まだ可能性があるように 確かにあったのだ 詩人がひとを集め賑わった時代 文学館の受付には誰もいない 拝観者も誰もいない そこにはひとりの孤独がいるだけ 天才は孤独である 時代に合わない才能は悲劇を 演じては彷徨い歩く 詩人の孤独が月に吠えたら 涙くらいは流がせるのだろうか