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詩は元気です ☆ 齋藤純二

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ニンニク中毒

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十八歳になり高校を卒業して就職。それまでは実家でとくに不自由なく過してきた。ただ、一人暮らしをするようになり、あの家庭にあれがあったら僕の人生は変わっていたのではないかと思うように。

父はなぜだろう、ニンニクが嫌いだった。なので、うちの家庭では必然的に餃子やパスタ、ラーメンにもニンニクが入らないのである。ニンニクの存在を知るようになったのは、高校の部活動をしていた時に試合の遠征先で食べた餃子からだった。
なんていう刺激的な匂いで、身体にパワーがみなぎってくるこの感じは、と感動したものだった。食べ終えた後に歯に詰まったニンニクの味すら美味しいと思ったくらいだった。

それからというもの仕事を終えると僕は、ラーメン屋へ毎日のように通った。ラーメンが運ばれると卓上にあるニンニクを足してガッついていた。もうニンニクのない生活なんて考えられなくなっていたんだ。風邪も引かないし、仕事もバリバリこなせる気がしていた。ニンニクパワーで。

しかし、僕の人生はニンニクで人生を狂わされてしまった。
彼女は僕がいつもニンニクを大量に食べるものだから、臭すぎると言い出したんだ。最後は私をとるかニンニクをとるか、って話まで進展してしまう。そして、ニンニクを選んでしまった。

社会人になりストレスが溜まり、ストレス発散がニンニクの摂取と繋がってしまったようだ。電車に乗ると鼻をつまみ僕から離れて行くひとがいたりして。会社でも露骨には言われないが、陰で僕のことを「ゴメン臭いの助」なんて指をさしているようだ。

でも、もうニンニクを止めることができない。中毒だ。いつもポケットにはニンニクチップが入っていて、ボリボリと止まらないのだから。完全にニンニクに人生を変えられてしまった。父のニンニク嫌いがなければ、僕はこんなことにはならなかった。もう仕事も手につかないくらいに頭の中はニンニクのことばかりだ。

そんな僕の様子を見て課長が言った。「齋藤、病院へ行って来い。暫く休んで良いから。このままでは、臭いだけの人生で終わってしまうぞ。さあ、行って来い」と。

僕はそんなわけで今、病院へ向かっている。
たぶん、父のニンニク嫌いがなければここまで執着しなかったはずのニンニク。はて僕は、これからニンニクとどう向き合って生きて行くことになるのだろう。

#詩 #雑記

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