右曲がり僕
2月
11日
右にずっと曲がってね
私はずっと左に曲がるから
そう君に言われた
たぶん
僕と距離を置きたいんだ
それから僕は言われた通り
右に曲がる人生を送り
君はきっと左に曲がる人生を
送っているのだろう
ふたりは
違う景色を見て歩いた
君のいない人生は
寂しくて
味気なくて
辛くて
苦しくて
でも
そんな日々が教えてくれた
僕は自分の満足のために
君を好きになって
どうしようもない男だったんだ
やっと気づいた
君の幸せを思えることが
好きだということなんだ
よし
きっと君を幸せにしよう
君の笑顔のために生きて行こう
そうだ
世界は広いけど
ずっと僕が右に曲がっていれば
元の場所にもどり
ずっと君が左に曲がっていれば
元の場所にもどるだろう
そして
ふたりは再会するに違いない
僕はそれまで
君を幸せにするため
たくさんの勉強をしながら
こころを豊かにしようと
ずっと右に曲がりながら
人生を送った
……そして五年が経ったある日
いつものように右を曲がっていた
角を通りすぎるところで
柔らかい誰かとぶつかった
大丈夫ですか
お怪我はないでしょうか
僕は慌てて言った
すると
大人になったみたいね
君が微笑んで
目の前にいるのだから
びっくりしてしまった
そして僕は
ずっと君を幸せにするよ
そう伝えたんだ
すると君はこう言ったんだ
一緒に幸せになりましょうね
と