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詩は元気です ☆ 齋藤純二

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想い出を信じて

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フロントガラスの向こう
小さな子どもとお父さん
車の中まで遊ぶ声が聞こえてくる

その光景を
ついこの間のように想い出す
走って、転んで、泣いて、笑って
息子に振り回され
おーい、と言って追いかけた


用を済ませた帰り
なんとなく公園に立ち寄り
駐車場でシートを少し倒し
昨日のことを想い出していた

就活でリクルートスーツが必要でさ

私の分身のような体格で息子が言った
そして、紳士服店への道のりをふたり歩く

働き出せばそこにも生き甲斐があるだろう
しかし、厳しいことも多い
就職すれば背広に身を包み
七人の敵と戦い
自分を押し殺すかのように
仕事をこなして行かなければならない
当然と言えば当然なのだが

時間は足早に過去を綴っていた
ズボンに穴をあけて
遊びまわる息子を目に浮かべていると
一人前になろうとする喜びがあるのに……

なんだか寂しい気持ちになるのは
おかしいよな、と思う
そんな父親の私がいたりする

街を紅く染める夕日
何かを伝えたいように色は濃くなり
ふたりを包んでいた


ああ、我が親子の想い出
そこで養った力を信じようじゃないか

自由だった時間たちが
息子を大人にする最高の武器となり
社会の中で輝いて行くだろう


さあ、帰ろう

#詩

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