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詩は元気です ☆ 齋藤純二

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「これはお父さんから」
母は茶封筒を兄と私に渡そうとした

「お父さんを想い出すような物を買いなさい」
父の形見となるような物がなかったからだろうか

兄は
「そんなお金はいらないよ、母さんのために使えばいい」
受け取ることはなかった

私は
「何十年ぶりのお小遣いだろう、腕時計を買うから貰うよ」

やはり長男と次男では考え方も違う
でも どちらも母への思いに違いはない

父は生前に二度
私に腕時計を買ってくれた

最初はもうすぐ中学生になる頃
家族で食事をした帰りに機嫌の良くなった父
その当時に流行っていたデジタル式の
ストップウォッチとタイマーが付いている腕時計を

二つ目は就職する前に薄型の腕時計が流行っていて
皮のベルトにモダンな文字盤の物を買ってくれた

最近は携帯電話やスマートフォンを使うようになり
腕時計は使うことがなくなる

けれど 歳を重ねるたびに時間が加速
この流れに抵抗したくなって
ふと 腕時計を身につけていれば
時間の密度に変化が起きるかもしれない
そんなことを考えるようになっていた

だから 記念にもなる腕時計を買おうと
母からそのお金を受けとった

三つ目
今までの二つの腕時計は
「これだな」と選択の余地なく父が選んだ
今度は初めて自分で選ぶ腕時計

普段は何を買うにしても即決な私
だが 腕時計の専門店に一週間も通う
腕時計を知れば知るほど選び切れない

価格を妥協しないのならいい物がある
でも 予算オーバー
ローンを組むほどの魅力は感じない
それなら父が買ってくれた腕時計のような
すこしの贅沢が付いてくる物を買おう

そして 仕事帰りの腕時計探しにも疲れてきた時
新製品が店頭に飾られた

チタニウムのフレームとベルト
太陽光の蓄電池
電波による時間調整
サファイヤガラス
ネイビーブルーの文字盤

これだ
迷いが少しもない

そんな腕時計が現れて腕にはめてみる
軽くてガラスの向こうで文字盤が輝く

「これに決めました」

店員さんは
「こちらですね」と微笑み
「こちらは太陽光で動いています。
蓄電器の寿命は十五年くらいとなり、
その頃にそちらの交換となります」と

さっそく腕時計をはめて専門店を出る
その輝きを覗くと幸せな気分
これなら持病と付き合いながら
あと十五年は頑張って働ける気がして

流されず潰れないように時を刻み
十五年を越えるビジョンも想像し
今という時間をすこし贅沢に生きて行こう


#詩

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