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詩は元気です ☆ 齋藤純二

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友人として

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送った手紙はニ年前
今でも返事を待っている

彼にとって私は友人でなくなったのか
私にとっても彼は友人ではなくなったのか

彼は精神の病を持ち
三十年ほど病院で暮らしている
私とは半年に一度ほど電話で話をしていた
そして、最後に話したのは
共通の友人が亡くなったことを私から伝えた時

「ハルオが癌で亡くなったよ」

「そう、亡くなったか。
それでさ、おれ最近、太っちゃって……」

言葉をなくす
友人の死をかるくながす彼
病気だから仕方ないことなのか
しかし、私の違和感は膨らんでゆく
そして彼は言った

「手紙をくれよ、内容はなんでもいいから、
送ってきて欲しい」

もう亡くなった友人のことなど頭の隅にもない
己に自分しかない様子だった

彼は病気
自分から手紙を書くことを拒む
けれど、病人である前に友人であって欲しい

けっきょく、私は手紙を書いた


この間も電話で話したように
手紙が欲しいのなら
まず、自分から送って欲しかった
震える手で書いたものでも
俺は笑ったりはしない
だから、今度は君の手紙を待っている


そのようなことを書き彼に送った
それからというもの彼からは手紙も電話もこない

私はこのことで自分を曲げようなどと思わない
あえてこちらから連絡はしない
十年経とうが、二十年経とうが、三十年経とうが

もう彼とは歩み寄ることがないかもしれない
そこには何の悔いなどはない

私も頚椎を痛めた身
手が痺れているが
手紙を書くのに努力は惜しまない
彼に書けないはずがない
受話器を持ちボタンが押せるのだから

病気だからといってながせることではない
書けない理由より礼儀が欲しい

待つしかない
ただ待つしかない
厳しいことを言っているかも知れないが
私は手紙を待っている

彼の思いを綴った手紙を待っている

#詩

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